連帯債務者の求償権とは?弁済後に請求できる金額と要件を解説

連帯債務では、債権者は連帯債務者の1人に対して、債務の全部または一部を請求できます。そのため、1人が自分の財産で支払うと、他の連帯債務者も債権者との関係では債務を免れます。このとき、支払った人が他の連帯債務者に負担分を請求できる権利が求償権です。

連帯債務者の求償権とは

連帯債務では、1人が全額を弁済することがある

連帯債務とは、複数人がそれぞれ債務全額について責任を負う関係です。債権者は、連帯債務者のうち1人だけに全額を請求することもできます。

もっとも、連帯債務者同士の内部関係では、最終的に各自が負担すべき割合があります。この割合を負担部分といいます。

求償権の意味と基本的な要件

連帯債務者の1人が、自己の財産を使って支払いなどを行い、他の債務者も含めた共同の免責を得た場合、他の連帯債務者に求償できます。要件は、主に次のとおりです。

  • 連帯債務者の1人であること
  • 弁済などにより共同の免責を得たこと
  • 自己の財産を支出したこと

対象となる行為は通常の弁済だけでなく、代物弁済、更改、相殺、混同、供託も含まれます。

弁済後に請求できる金額の計算方法

求償できる金額は「各自の負担部分」に応じて決まる

負担部分について当事者間に定めがあれば、その定めに従います。定めがない場合は、原則として連帯債務者間で均等です。

求償できる金額は、自己の負担部分を超えて支払った額だけとは限りません。支払額が自己の負担部分に達していなくても、共同の免責を得た額に対応する他の債務者の負担部分を請求できます。

求償額の基本的な考え方

求償額は、次の範囲で計算します。

他の連帯債務者の負担部分に応じた額
ただし、自己の支出額が共同の免責額を超えるときは、共同の免責額が上限

たとえば、3人の負担割合が均等で、1人が60万円を支払った場合、他の2人の負担に対応する各20万円、合計40万円を求償できます。支払額が全額でない場合も、実際に得られた共同の免責額を基準にします。

一方、負担割合がA50%、B30%、C20%で、Aが100万円を支払った場合、Bには30万円、Cには20万円を請求できます。

求償額を計算するときの注意点

債権者に全額を請求される責任と、連帯債務者間で最終的に負担する金額は別です。負担割合が定められていれば、均等にはなりません。また、支出額が共同の免責額を超えた部分まで、当然に求償できるわけではありません。

求償権を行使するときの通知と制限

弁済前の通知を怠った場合

他の連帯債務者がいることを知っている場合、支払う前に、共同の免責を得ることを通知する必要があります。通知をしないまま支払ったとき、他の債務者が債権者に対抗できる事情、たとえば相殺権を持っていた場合には、その事情を求償者に主張できます。その結果、求償額が制限されることがあります。

弁済後の通知を怠った場合

支払い後も、共同の免責を得たことを他の連帯債務者に知らせなければなりません。通知を怠り、他の債務者が支払いの事実を知らずに自分の財産で弁済した場合、その債務者は自分の弁済を有効なものとして扱えることがあります。二重の弁済を避けるためにも、事前・事後の通知が必要です。

他の連帯債務者が無資力の場合

求償先の連帯債務者に支払う資力がない場合、その人が負担できない部分は、求償者と資力のある他の連帯債務者が、それぞれの負担部分に応じて分担します。ただし、求償を遅らせたことなどについて求償者に過失があり、その間に相手が無資力になった場合は、他の債務者に分担を求められないことがあります。