物権とは、「物」を独占排他的に使用・収益・処分することができる権利です。原則として、特定の相手方だけでなく、誰に対しても主張できます。民法が規定する物権は全部で10種類あり、所有権・用益物権・担保物権・占有権に分けて整理できます。
物権とは?債権との違いと基本原則
物権の意味
物権は、物を直接支配する権利です。代表例である所有権は、物を使用し、そこから利益を得て、譲渡や処分をすることができる権利です。
債権との違い
債権は、主に契約によって発生する、特定の相手方に特定の行為を請求することができる権利です。つまり、物権が誰にでも主張することができる権利であるのに対し、債権は特定の相手方にしか主張することができません。
物権法定主義
物権法定主義とは、法律に定められた物権だけが認められるという原則です。当事者間の合意だけで、法律に定めのない新しい物権を作ることはできません。民法175条がこの原則を定めています。
物権の種類は10種類|4つのグループに分類
物権10種類の一覧
- 所有権
- 用益物権:地上権、永小作権、地役権、入会権
- 担保物権:抵当権、質権、留置権、先取特権
- 占有権
所有権
所有権は、物を独占排他的に使用・収益・処分することができる権利です。
用益物権
用益物権は、他人の土地を利用することができる物権です。所有権と比べて物の完全な支配権が認められないため、制限物権に分類されます。
担保物権
担保物権は、債権を担保するための物権です。所有権と比べて物の完全な支配権が認められないため、用益物権と同じく制限物権に分類されます。種類は、抵当権・質権・留置権・先取特権の4つです。
占有権
占有権は、物を所持しているという事実上の支配状態に物権的効果を認める権利です。所有権などの正当な権利があるかどうかとは別に、事実上の支配をもとに認められます。そのため、所有権や制限物権のような本権とは異なります。
物権の分類を理解するためのポイント
「制限物権」とは
制限物権とは、所有権と比べて物の完全な支配権が認められない物権の総称です。用益物権と担保物権がこれにあたります。個別の物権の名称ではなく、分類上の呼び方です。
「本権」と占有権の違い
本権とは、法律上、物の占有・支配が認められる正当な権利を意味します。所有権と制限物権は本権に含まれます。一方、占有権は本権には属さず、法律上の正当な権利の有無にかかわらず、物を所持しているという事実上の支配状態そのものに物権的効果が認められます。
物権の客体に関する原則
物権の客体は、1個の独立した物であることを要します。動産・不動産が対象となり、この考え方を一物一権主義といいます。ただし、例外として、判例上は一筆の土地の一部について所有権が成立し、時効取得が認められる場合があります。
まとめ|物権は4分類・10種類で整理できる
物権は、物を直接支配し、原則として誰にでも主張できる権利です。10種類の内訳は、所有権、4種類の用益物権、4種類の担保物権、占有権です。用益物権と担保物権は制限物権であり、占有権は本権とは異なり、事実上の支配状態を保護する権利と整理できます。
