連帯債務では、債権者は連帯債務者の1人に対して、債務の全額または一部を請求できます。そのため、1人が全額を弁済したときは、通常、他の連帯債務者に対して求償します。
しかし、求償相手に資力がなく、支払いを受けられないこともあります。この場合の負担について、民法444条は一定の分担ルールを定めています。
連帯債務者が負担する「負担部分」と求償の基本
連帯債務では債権者から全額を請求される
連帯債務とは、複数の債務者が、それぞれ債務全額について責任を負う関係です。債権者は、1人に全額を請求することも、複数人に分けて請求することもできます。
一方、連帯債務者同士の内部関係では、最終的に各自が負担する割合があります。これを負担部分といいます。負担部分について合意がなければ、原則として債務者間で等しい割合になります。
1人が弁済した場合は他の連帯債務者に求償できる
連帯債務者の1人が弁済などによって共同の免責を得た場合、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分に応じて求償できます。ここでいう弁済には、代物弁済、相殺、更改、混同、供託なども含まれます。
求償相手に無資力者がいる場合の分担方法
無資力者から回収できない部分は、求償者と資力のある者で分担する
求償先に支払う資力がない者がいる場合、その者の負担部分のうち回収できない部分は、求償者と、その他の資力がある連帯債務者が分担します(民法444条1項)。分担割合は、原則として各自の負担部分に応じて決まります。
したがって、無資力者の負担部分を求償者だけが負うとは限りません。
無資力者がいる場合の計算例
連帯債務が240万円で、4人の負担部分がそれぞれ60万円だったとします。そのうち1人が240万円を弁済し、求償先の1人が無資力で、残り2人には資力がある場合、無資力者の60万円を、求償者と資力のある2人で分担します。
3人の負担部分が同じであれば、60万円を20万円ずつ負担します。その結果、弁済した者は、資力のある2人に対して、それぞれ本来の60万円に20万円を加えた80万円ずつを求償できます。
負担部分を持つ者が無資力者だけの場合
負担部分を持つ者が無資力者だけで、他の連帯債務者の負担部分がゼロである場合には、別のルールがあります。無資力者が負担すべき部分は、残りの連帯債務者の間で等しい割合により分担します(民法444条2項)。
求償できない部分を分担できない例外
求償者に過失がある場合は分担を請求できない
無資力者から回収できなくなったことについて、求償者に過失がある場合は、他の連帯債務者に分担を請求できません(民法444条3項)。
たとえば、資力を有している相手にすぐに求償すべきだったにもかかわらず、求償者の怠慢で数年間求償しなかったため、その間に相手が無資力になったケースです。この場合、無資力者の負担部分について、他の連帯債務者に分担を請求できません。
まとめ
- 連帯債務者の1人が共同の免責を得ると、他の連帯債務者に求償できる
- 求償先に無資力者がいるときは、回収できない部分を求償者と資力のある者が原則として負担部分に応じて分担する
- 負担部分を持つ者が無資力者だけの場合は、残りの者が等しい割合で分担する
- 求償者の過失で回収できなくなった場合は、他の連帯債務者に分担を請求できない
