分別の利益とは、1つの主たる債務について複数の普通保証人がいる場合に、各保証人が保証債務を人数で分けた額だけ負担すればよいという利益です。民法456条に定められており、共同保証人と連帯保証人の責任の違いを理解するうえで重要です。
たとえば、主たる債務が600万円で共同保証人が3人いる場合、各保証人の負担は原則として200万円ずつです。
共同保証人は、原則として頭数で分割した額を負担する
共同保証人に分別の利益が認められる理由
共同保証とは、1つの主たる債務について複数人が普通保証をすることです。普通保証の共同保証人には分別の利益があるため、債権者は原則として、保証人の人数で分割した額を各保証人に請求します。
保証人が2人なら2分の1、4人なら4分の1というように、保証人の人数が変われば、原則として1人あたりの負担額も変わります。
共同保証人の1人が多く支払った場合
共同保証人の1人が自分の負担部分を超えて弁済したときは、超過分について他の共同保証人に求償できます。求償とは、立て替えて支払った金額を他の保証人に請求することです。
連帯保証人には分別の利益がなく、各人が全額について責任を負う
連帯保証人の責任割合
連帯保証とは、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負う保証です。連帯保証人には分別の利益がないため、連帯保証人が複数いても、各人が主たる債務の全額について責任を負います。
主たる債務が600万円で連帯保証人が3人いる場合でも、債権者は各連帯保証人に600万円全額を請求できます。したがって、3人いるから1人200万円だけ支払えばよいとは限りません。
連帯保証人の1人が全額を支払った場合
1人の連帯保証人が全額を弁済した場合、その人は他の連帯保証人に対し、自己の負担部分を超えて支払った額を求償できます。つまり、債権者に対する責任は全額でも、保証人同士の最終的な負担まで必ず全額になるわけではありません。
分別の利益がなくなる場合と共同保証人との違い
共同保証人同士で、債務全額について責任を負う旨の特約を締結した場合は、分別の利益を失います。これを保証連帯といいます。保証連帯は各保証人が全額について責任を負う点で連帯保証と似ていますが、保証人同士の関係に関する特約であり、通常の連帯保証とは区別されます。
保証連帯では、普通保証を前提とするため、主たる債務者への請求を先に求める催告の抗弁権や、主たる債務者の財産から先に回収するよう求める検索の抗弁権が認められます。
| 種類 | 分別の利益 | 責任 |
|---|---|---|
| 共同保証(普通保証) | あり | 原則として頭数で分割 |
| 連帯保証 | なし | 各人が全額について責任 |
| 保証連帯 | 特約によりなし | 全額について責任。ただし抗弁権は異なる |
まとめ
分別の利益とは、複数の普通保証人が保証債務を頭数で分担できる利益です。共同保証人は原則として等しい割合で負担しますが、連帯保証人には分別の利益がなく、各人が主たる債務の全額について責任を負います。
もっとも、実際の最終負担は、保証人同士の求償によって調整されます。また、保証連帯などの特約がある場合は、共同保証人でも分別の利益を失う可能性があります。
