免責的債務引受の要件と効果とは?債務者の免責や担保の移転を解説

免責的債務引受とは、債務者以外の第三者(引受人)が、元の債務者に代わって同じ内容の債務を負い、元の債務者が債権者に対する債務から免れる制度です。たとえば、BがAに対して負担する貸金返済債務について、CがBの代わりに債務者となる場合がこれに当たります。

この記事では、免責的債務引受の成立要件と、成立後の免責、抗弁、求償権、担保の移転について説明します。

免責的債務引受とは

免責的債務引受の意味

免責的債務引受では、引受人が元の債務者と同一内容の債務を負担します。その一方で、免責的債務引受の効力が生じると、元の債務者はその債務を負わなくなります。

これに対し、併存的債務引受では、元の債務者の債務が残ったまま、引受人も同じ内容の債務を負います。つまり、元の債務者を交代させるのが免責的債務引受、元の債務者に引受人を加えるのが併存的債務引受です。

免責的債務引受が成立する要件

免責的債務引受は、次のいずれかの契約関係によって行うことができます。ただし、二者間の契約では、通知または承諾が必要です。

三者で契約する場合

債権者、元の債務者、引受人の三者が合意して契約を結ぶ方法です。三者の合意により、引受人が債務を負い、元の債務者が免責されます。

債権者と引受人が契約する場合

債権者と引受人だけで契約を結ぶこともできます。この場合、債権者が元の債務者に対して契約をした旨を通知した時点で、免責的債務引受の効力が生じます(民法472条2項)。

元の債務者と引受人が契約する場合

元の債務者と引受人の間で合意する方法もあります。ただし、元の債務者だけの合意では足りず、債権者が引受人に対して承諾した時点で効力が生じます(同条3項)。

免責的債務引受の効果

元の債務者が免責される

引受人は元の債務者と同一内容の債務を負い、元の債務者は債権者に対する返済などの義務から免れます。これが免責的債務引受の中心的な効果です。

引受人は抗弁を主張できる

引受人は、効力発生時点で元の債務者が主張できた抗弁(債権者の請求を拒む理由)を、債権者に対して主張できます(民法472条の2第1項)。また、元の債務者が取消権または解除権を有していた場合、一定の範囲で履行を拒むこともできます(同条2項)。

求償権は生じない

引受人は、元の債務者に対して求償権を取得しません(民法472条の3)。これは、引受人が一時的な立替えではなく、自分の債務として引き受ける制度だからです。

担保を引受人の債務へ移転できる

元の債務を担保する担保権は、一定の要件を満たせば引受人の債務に移転できます(民法472条の4第1項)。債権者は、あらかじめ、または免責的債務引受と同時に、引受人に対して担保権を移転する意思表示をしなければなりません(同条2項)。

ただし、引受人以外の第三者が担保を設定していた場合には、その第三者の承諾が必要です。担保は当然に移転するとは限らない点に注意しましょう。

まとめ

  • 免責的債務引受は、引受人が債務を負い、元の債務者が免責される制度です。
  • 三者契約のほか、債権者と引受人、または元の債務者と引受人の契約でも行うことができます。
  • 二者間の契約では、通知や債権者の承諾によって効力が生じます。
  • 引受人は抗弁を主張できますが、元の債務者への求償権は取得しません。
  • 担保の移転には意思表示が必要で、第三者が担保を設定した場合はその承諾も必要です。