差押禁止債権を受働債権として相殺できる?

結論からいうと、差押禁止債権を受働債権として相殺することはできません。根拠は民法510条です。

差押禁止債権とは、法律上、差押えの対象にできない債権をいいます。たとえば、給与債権の一部などがこれに当たります。差押禁止債権を相殺によって消滅させると、債権者が生活費に困るおそれがあるため、相殺が制限されています。

差押禁止債権を受働債権とする相殺はできない

受働債権とは

相殺では、互いに債権・債務を持つ当事者のうち、相殺を主張する側の債権を「自働債権」、相殺によって消滅させられる側の債権を「受働債権」といいます。

たとえば、会社が従業員に対して立替金の返還請求権を持ち、従業員が会社に対して給与債権を持っているとします。この場合、会社が立替金の返還請求権を使って給与債権を消滅させようとすると、給与債権が受働債権になります。給与債権が差押禁止債権に当たる限り、このような相殺は認められません。

差押禁止債権を自働債権とする相殺はできる

民法510条が禁止しているのは、差押禁止債権を受働債権とする相殺です。そのため、差押禁止債権を自働債権とする相殺は、することができます。

たとえば、従業員が会社に対して給与債権を持っており、会社が従業員に対して立替金の返還請求権を持っている場合、従業員は給与債権を自働債権として相殺することができます。

このように、差押禁止債権について相殺の可否を判断するときは、その債権が相殺される側の受働債権なのか、相殺を主張する側の自働債権なのかを確認することが重要です。

まとめ

  • 差押禁止債権を受働債権とする相殺はできない。
  • 根拠は民法510条である。
  • 差押禁止債権を自働債権とする相殺はできる。
  • 相殺の可否は、自働債権と受働債権のどちらに当たるかを区別して判断する。