変更を加えた承諾とは、申込みを受けた人が、元の条件に別の条件を付けたり、内容を変えたりして返事をすることです。
このような返答は、元の申込みをそのまま受け入れた「承諾」にはあたりません。そのため、元の申込みと変更後の返答の内容が一致せず、契約は成立しません。民法528条は、変更を加えた承諾を、元の申込みの拒絶と新たな申込みとして扱っています。
変更を加えた承諾とは
契約は申込みと承諾が一致して成立する
契約は、一方が契約の内容を示して締結を申し入れ、相手方がその内容を承諾することで成立します(民法522条1項)。重要なのは、申込みと承諾の内容が合っていることです。
また、法律に特別な定めがない限り、契約書などの書面を作成しなくても、当事者の合意だけで契約は成立します(同条2項)。
条件や内容を変更して返答する場合
たとえば、申込みを受けた人が次のように返答した場合です。
- 申込みの金額を変更する
- 納期や数量などの条件を付け加える
- 申込みの対象や内容を別のものに置き換える
このように、申込みに変更を加えて「承諾する」と伝えても、法律上は通常の承諾とは扱われません。承諾期間が定められている申込みかどうかにかかわらず、民法528条が適用されます。
変更を加えた承諾では契約が成立しない理由
元の申込みと返答の内容が一致しないため
申込みに対する返答の内容が変更されていると、相手方は元の条件を受け入れたとはいえません。「承諾します」という言葉が使われていても、実際の条件が異なれば、元の申込みについて契約は成立しないのです。
元の申込みの拒絶と新たな申込みになる
民法528条では、変更を加えた承諾について、次のように扱います。
- 元の申込みを拒絶したものとみなす
- 変更後の条件による新たな申込みをしたものとみなす
したがって、元の申込者が変更後の申込みを改めて承諾しなければ、変更後の内容でも契約は成立しません。
変更を加えた承諾の具体例
たとえば、AさんがBさんに「甲土地を1,000万円で売ってほしい」と申し込んだとします。これに対し、Bさんが「2,000万円ならば売る」と返答した場合、売買価格が1,000万円から2,000万円に変更されています。
この返答は、Aさんの申込みをそのまま承諾したものではありません。Aさんの元の申込みは拒絶されたものとみなされ、Bさんから「2,000万円で売る」という新しい申込みがあったことになります。Aさんがこれを承諾して初めて、2,000万円を売買価格とする契約が成立します。
判断の流れ
- 元の申込みの条件を確認する
- 返答に条件や内容の変更があるか確認する
- 変更があれば、元の申込みへの承諾とは扱わない
- 変更後の返答を新たな申込みとして扱う
- 元の申込者が承諾すれば、変更後の内容で契約が成立する
まとめ
変更を加えた承諾とは、申込みに条件を追加したり、内容を別のものに変えたりして返答することです。申込みと承諾の内容が一致しないため、元の申込みについて契約は成立しません。
民法528条では、この返答を「元の申込みの拒絶」と「変更後の条件による新たな申込み」として扱います。元の申込者が新たな申込みを承諾した場合に限り、変更後の内容で契約が成立します。
