婚姻は、当事者が結婚に合意するだけでは成立しません。法律上は、婚姻意思の合致、婚姻障害に該当しないこと、婚姻の届出が必要です。
婚姻が成立するための3つの要件
当事者双方に婚姻意思があること
婚姻意思とは、社会通念上、夫婦として生活する関係をつくろうとする意思です。人違いなどで当事者間に婚姻意思がない場合、婚姻は無効になります。
ただし、婚姻意思に基づいて婚姻届が作成されていれば、届出が受理された時点で一方が意識を失っていても、婚姻は有効に成立します。また、一方の意思に基づかず婚姻届が作成された場合でも、実際に夫婦として生活し、後から届出を知った本人が追認すれば、届出時にさかのぼって有効となる場合があります。
婚姻障害に該当しないこと
婚姻障害とは、法律上、婚姻を妨げる事情です。18歳になると婚姻できます。成年被後見人が婚姻する場合でも、成年後見人の同意は不要です。
一方、次の関係にある者は婚姻できません。
- 配偶者がいる者による重婚
- 直系血族または3親等内の傍系血族。ただし、養子と養方の傍系血族との間は除かれます
- 直系姻族
- 養子もしくはその配偶者、または養子の直系卑属もしくはその配偶者と、養親またはその直系尊属との間
直系血族は親子や祖父母と孫、傍系血族は兄弟姉妹や、おじ・おばとおい・めいなどを指します。
婚姻の届出をすること
婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることで効力を生じます。婚姻届は、当事者双方と成年の証人2人以上が署名した書面で提出するほか、これらの者から口頭で届け出ることもできます。
婚姻の届出をしていなければ、結婚の合意があっても法律上の婚姻は成立しません。ただし、届出自体はあるものの、民法に定める届出の方式を欠くだけであれば、その不備だけを理由に婚姻の効力が否定されるとは限りません。
婚姻の成立要件を満たさない場合の「無効」と「取消し」
婚姻が無効になる場合
主な原因は、当事者間に婚姻意思がないこと、または婚姻の届出をしていないことです。子に嫡出子としての身分を与える目的だけで、実質的な夫婦関係をつくる意思がない場合も、婚姻意思がないため無効となります。
婚姻の「取消し」が問題となる場合
不適齢者の婚姻、近親者間・直系姻族間・養親子間の婚姻、重婚、詐欺や強迫による婚姻は、直ちに無効となるのではなく、一定の者から取消しを請求できる場合があります。取消しは、取消権者が家庭裁判所に請求して行います。
取消しが認められると、将来に向かって婚姻の効力が消滅します。婚姻が取り消されても、子の嫡出子としての身分には影響しません。
婚姻届を提出する際に確認したいポイント
- 双方に夫婦として生活する意思があるか
- 18歳以上であるか
- すでに配偶者がいないか
- 法律上、婚姻できない親族関係ではないか
- 成年の証人2人以上の署名など、届出に必要な事項を確認しているか
婚姻意思の欠如と、婚姻届の形式上の不備は別の問題です。判断に迷う事情がある場合は、無効と取消しを混同せず、法律の専門家に確認しましょう。
まとめ
婚姻の成立には、当事者双方の婚姻意思、婚姻障害に該当しないこと、婚姻の届出が必要です。婚姻意思がない場合や届出をしていない場合は、婚姻が無効となります。一方、重婚や不適齢者の婚姻などは、一定の場合に家庭裁判所で取消しを請求します。
