生活保護を受ける権利は、相続できません。最高裁判所は、朝日訴訟において、生活保護受給権は法律に基づく権利である一方、受給者本人の最低限度の生活を維持するための一身専属の権利であり、他人への譲渡や相続はできないと判断しました。
ここでいう一身専属の権利とは、権利の性質上、その人本人にだけ認められる権利をいいます。
生活保護を受ける権利は相続できない
結論:生活保護受給権は相続の対象にならない
生活保護を受けていた人が亡くなった場合、その人の相続人が受給権を引き継ぎ、同じ生活保護を受け続けることはできません。
生活保護受給権は、受給者本人の最低限度の生活を維持するために認められた権利です。そのため、受給者本人に結び付いた受給権は、相続人に承継されません。
生活保護受給権は「法律上の権利」ではある
生活保護は、国が任意に与える恩恵や、制度の結果として得られる反射的利益ではありません。生活保護法に基づき、要保護者や被保護者に認められる法的な権利です。
ただし、法律上の権利であれば、すべて相続できるとは限りません。権利の目的や性質によって、本人だけに認められる場合があります。生活保護受給権は、本人に専属する権利です。
朝日訴訟で最高裁判所が示した判断
朝日訴訟の判例
- 判例名:朝日訴訟
- 裁判所:最高裁判所大法廷
- 判決日:昭和42年5月24日
この判決は、生活保護を受けることが単なる国の恩恵や反射的利益ではなく、生活保護法に基づく法的権利であることを示しました。
その一方で、受給権は被保護者本人の最低限度の生活を維持するために与えられた権利であるため、本人に専属すると判断しています。
最高裁判所の判断のポイント
最高裁判所の考え方は、次のように整理できます。
- 生活保護受給権は、法律に基づく権利である
- 受給者本人の最低限度の生活を維持する目的で認められる
- 本人だけに帰属する一身専属の権利である
- 他人に譲渡できず、相続の対象にもならない
生活保護受給権を相続できない理由
受給者本人の生活を維持するための権利だから
生活保護受給権は、被保護者本人の最低限度の生活を維持するために与えられた権利です。したがって、受給者が亡くなった場合に、相続人がその受給権を引き継ぐことはできません。
そのため、生活保護受給権については、「法的な権利であること」と「相続できること」を同じ意味に扱うことはできません。
まとめ
- 生活保護受給権は相続できない
- 生活保護は、単なる国の恩恵や反射的利益ではなく法律上の権利である
- ただし、本人の最低限度の生活を維持する一身専属の権利である
- そのため、譲渡も相続も認められない
- この考え方は、最高裁判所の朝日訴訟判決で示されている
