行政行為の不可争力とは?審査請求・取消訴訟の期間との関係を解説

行政行為の「不可争力」とは、行政行為について一定期間が経過すると、たとえ違法性があったとしても、相手方や関係人が審査請求や取消訴訟で争えなくなる効力です。行政行為を争う期間には、手続ごとの制限があります。この記事では、不可争力の意味と、審査請求・取消訴訟との関係を解説します。

行政行為の不可争力とは

不可争力の意味

行政行為とは、行政庁が一方的に、特定の人の権利義務を形成したり、その範囲を確定したりする行為です。たとえば、営業の許可や一定の義務を命じる処分などが挙げられます。

このような行政行為をいつまでも争える状態にしておくと、法律関係が不安定になります。そこで、一定期間が過ぎると、相手方や関係人は、行政行為の違法性を審査請求や取消訴訟によって争えなくなります。これが不可争力であり、「形式的確定力」とも呼ばれます。

公定力との違い

公定力とは、行政行為に違法な点があっても、正当な権限を有する機関に取り消されるまでは、原則としてその効力を否定できないことです。そのため、行政行為を争う場合は、原則として審査請求や取消訴訟を利用します。

これに対し、不可争力は、争うための期間を過ぎた後に、相手方や関係人が行政行為を争えなくなる効力です。ただし、重大かつ明白な瑕疵があり、行政行為が当然に無効となる場合は、公定力の例外として扱われます。

不可争力と審査請求・取消訴訟の期間

審査請求の期間

審査請求は、行政機関に対して処分の見直しを求める手続です。原則として、処分を知った日の翌日から3か月以内に行わなければなりません。この期間を過ぎると、原則として審査請求で行政行為を争えなくなります。

取消訴訟の期間

取消訴訟は、裁判所に行政行為の取消しを求める手続です。原則として、処分があったことを知った日から6か月以内に提起する必要があります。期間経過後は、原則として取消訴訟による争いができなくなります。

手続 申立先 原則的な期間
審査請求 行政機関 処分を知った日の翌日から3か月以内
取消訴訟 裁判所 処分があったことを知った日から6か月以内

期間を過ぎると、行政行為が最初から適法になるわけではありません。違法性があったとしても、これらの手続で争えなくなるという意味です。

不可争力は行政庁にも及ぶのか

不可争力は行政庁を拘束しない

不可争力は、相手方や関係人による争いを制限する効力であり、行政行為をした行政庁自身を拘束するものではありません。そのため、期間が経過した後でも、行政庁が職権で行政行為を取り消したり、変更したりすることは可能です。

不可変更力との違い

不可変更力とは、行政不服審査法に基づく審査請求に対する裁決など、裁判手続に準じた厳格な手続によって行われる行政行為について、行政庁自身が取り消したり変更したりできなくなる効力です。つまり、不可争力は主に相手方や関係人を拘束し、不可変更力は一定の行政行為について行政庁を拘束します。不可変更力が認められる行政行為は例外的なものです。