行政行為の自力執行力とは?税金の強制徴収を例に解説

行政行為の自力執行力とは、行政庁が行政行為によって国民に課した義務について、相手方が履行しない場合に、裁判所の判断を先に得なくても、その義務を強制的に実現できる効力です。

もっとも、行政庁が自由に強制できるという意味ではありません。自力執行力が認められるには、法律上の根拠が必要です。

行政行為の自力執行力とは

行政行為の基本的な意味

行政行為とは、行政庁が法律を根拠に、国民に対して一方的に行う行為をいいます。行政行為によって、国民の権利義務が形成されたり、その範囲が確定したりします。

たとえば、行政庁が法律を根拠として、ある人に一定の義務を履行するよう命じる場合があります。このような命令に従わないときに問題となるのが、自力執行力です。

自力執行力の意味

自力執行力があると、行政庁は、義務を負う人の意思に反してでも、その内容を強制し実現できます。原則として、強制執行のために裁判所の判断を先に得る必要はありません。

私人間の債務回収との違い

私人間では自力救済が禁止されている

私人同士の契約で債務不履行があったとしても、権利を有する私人が、勝手に債務者から債権を回収することはできません。通常は、裁判所に訴えを提起し、判決を得て、その判決を債務名義として強制執行の申立てを行います。

このように、私人が自分の力だけで権利を実現することは、原則として認められていません。

行政庁には法律に基づく自力執行力がある

これに対して行政庁は、行政行為によって命ぜられた義務を国民が履行しない場合に、裁判所の判断を待たずに、相手方である私人の意思に反しても、その内容を強制し実現することが可能です。

税金の強制徴収を例に見る自力執行力

自力執行力の例として、税金の強制徴収が挙げられます。税金の納付義務が履行されない場合、行政庁は、裁判所の判断を先に得なくても、法律に基づいて強制徴収を行うことができます。

自力執行力が認められる範囲と限界

自力執行力は、すべての行政行為に当然に備わるものではありません。行政庁が国民の意思に反して義務を実現することは、国民の権利や義務に関わるためです。

そのため、法律の留保の原則から、法律で明確にこの効力が認められているものに限られます。つまり、行政行為が存在することと、その行政行為を自力で執行できることは別の問題です。

まとめ

  • 自力執行力とは、行政庁が裁判所の判断を待たずに義務を強制的に実現できる効力です。
  • 私人間では、原則として自力救済は禁止され、裁判や強制執行の手続が必要です。
  • 税金の強制徴収は、自力執行力の例です。
  • 自力執行力は、法律で明確に認められているものに限られます。