行政行為に附款を付けることができる場合とは?法令と行政裁量を解説

行政行為の附款とは、行政行為の効果を制限したり、相手方に特別な義務を課したりするために、主たる意思表示に付加される従たる意思表示です。

もっとも、行政庁が自由に附款を設定できるわけではありません。原則として法令上の明文の根拠が必要であり、明文の規定がない場合でも、行政庁に行政裁量が認められるときは、附款を付すことができると解されます。

行政行為の附款とは

附款の意味

附款は、行政行為の法律効果を制限したり、行政行為の相手方に特別の義務を課したりするものです。本体となる行政行為に付随するため、附款は本体たる行政行為の目的の範囲内でなければなりません。

附款の主な種類

  • 条件:発生するかどうか不確実な事実に、行政行為の法律効果の発生または消滅をかからせるもの
  • 期限:発生することが確実な事実に、行政行為の法律効果の発生または消滅をかからせるもの
  • 負担:行政行為の相手方に、特別の義務を課すもの
  • 撤回権の留保:特定の場合に行政行為を撤回することを、あらかじめ留保するもの

例えば、運転免許に眼鏡を使用することを付ける場合、その附款は、眼鏡を使用しなければならないという義務を課すものであるため、分類上は負担に該当します。

このほか、法令が一般に付与した法律効果を発生させないという趣旨の「法律効果の一部除外」も、附款に含まれます。

行政行為に附款を付すことができる場合

原則:法令に明文の根拠がある場合

附款は、行政行為の法律効果に影響を与えます。そのため、原則として、法令に附款を付すことができるという明文の規定が必要です。

例外:行政庁に行政裁量が認められる場合

法令に附款を付す旨の明文がない場合でも、行政庁に行政裁量が認められているときは、附款を付すことができると解されます。したがって、明文の根拠がないことだけで、直ちに附款が許されないとはいえません。

ただし、行政裁量があることが前提であり、行政庁の判断だけでどのような附款でも自由に設定できるわけではありません。附款は、本体となる行政行為の目的の範囲内でなければなりません。

附款と本体たる行政行為の関係

負担に違反した場合

条件と期限は、本体の行政行為と一体をなすものです。一方、負担は本体の行政行為とは別個の義務であるため、負担に違反しても、原則として本体の行政行為の効力には影響せず、行政行為自体の違法性の問題も生じません。

ただし、負担を履行しない場合には、本体の行政行為が撤回されたり、罰などが科されたりすることがあります。また、負担という義務を履行しないことを理由として、行政上の強制執行が行われる可能性もあります。

違法な附款と本体の行政行為への影響

附款が違法であった場合、本体の行政行為との一体性が重要になります。附款が本体たる行政行為の重要な要素であれば、附款だけでなく、本体の行政行為自体にも違法性の問題が生じます。この場合は、本体の行政行為と附款を一体として、その取消しを求めることになります。

一方、附款が本体たる行政行為の重要な要素でなければ、附款を本体の行政行為から切り離し、附款だけの違法性を検討します。

まとめ:附款を付すことができる場合の判断

  • 原則は、法令に附款を付すことができるという明文の規定がある場合
  • 明文の規定がなくても、行政庁に行政裁量が認められる場合は、附款を付すことができると解される
  • いずれの場合も、本体の行政行為の目的の範囲内であることが必要
  • 違法な附款が本体の重要な要素であれば、本体の行政行為にも違法性の問題が生じる