行政代執行の費用は誰が負担する?徴収方法と国税滞納処分の例を解説

行政代執行の費用は、行政上の義務を履行しなかった義務者から徴収されます。

行政代執行の費用は義務者が負担する

行政庁が代わりに行った作業の費用を義務者から徴収する

行政代執行とは、義務者が自分で行うべき作業を履行しない場合に、行政庁が自ら実施したり、第三者に行わせたりする制度です。その作業にかかった費用は、義務者から徴収されます。

たとえば、違法建築物の所有者に対して除去命令が出されたにもかかわらず、所有者が除去しなかったとします。この場合、行政庁が解体業者に解体を依頼し、その解体費用を所有者から徴収します。

費用を徴収できるのは、代執行の要件を満たしている場合

費用を徴収するには、行政代執行の要件を満たしている必要があります。主な要件は次のとおりです。

  • 法律、法律に基づく命令・規則、条例などに基づく義務であること
  • 他人が代わって実施できる作為義務(代替的作為義務)であること
  • 義務者がその義務を履行していないこと
  • 他の手段では履行を確保することが難しいこと
  • 不履行を放置することが著しく公益に反すると認められること

行政代執行の費用を徴収する方法

行政庁が実際の費用と納期限を定め、文書で納付を命じる

行政庁が徴収できるのは、代執行に実際に要した費用です。行政庁は費用額と納期限を定め、義務者に文書で納付を命じます。

なお、代執行令書に記載される費用は、代執行前の概算による見積額です。

支払われない場合は、国税滞納処分の例により徴収できる

納期限までに支払われない場合、行政庁は、国税滞納処分の例により強制的に徴収できます。これは、国税を滞納した場合と同じ方法で徴収するという意味です。

行政代執行費用の徴収には一定の優先順位がある

代執行に要した費用について、行政庁は国税及び地方税に次ぐ順位の先取特権を有します。徴収金は、事務費の所属に応じて国庫または地方公共団体の収入になります。

国税滞納処分の例にみる、費用の徴収手順

督促から財産の差押え、換価、配当まで進む

  1. 督促:納付を促します。
  2. 財産の差押え:義務者の財産を差し押さえます。
  3. 換価:差し押さえた財産を公売または売却し、金銭に換えます。
  4. 配当:換価で得た金銭を未納の費用に充てます。

代執行費用の徴収の流れ

義務者が義務を履行しないため行政庁が代執行を行い、実際にかかった費用を文書で納付するよう命じた後も支払われなければ、督促、財産の差押え、換価、配当へ進みます。なお、代執行令書の費用は概算による見積額であり、徴収されるのは実際に要した費用です。

まとめ

  • 行政代執行の費用は、義務を履行しなかった義務者から徴収されます。
  • 行政庁は、実際に要した費用と納期限を定め、文書で納付を命じます。
  • 支払われない場合は、督促・差押え・換価・配当という国税滞納処分の例により徴収できます。
  • 代執行費用については、国税・地方税に次ぐ順位の先取特権があります。