行政手続法の不利益処分とは?具体例と適用除外をわかりやすく解説

行政手続法の不利益処分とは、行政庁が法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に義務を課したり、権利を制限したりする処分です(行政手続法2条4号)。

たとえば、許認可の取消しや停止、役員の解任命令などが該当します。ただし、申請の拒否や行政上の強制執行などは、相手に不利益が生じても、不利益処分には含まれません。

行政手続法の不利益処分とは

不利益処分の定義

不利益処分に該当するには、次の4つの要件を満たす必要があります。

  1. 行政庁が行う処分であること
  2. 法令に基づく処分であること
  3. 特定の者を名あて人としていること
  4. その者に直接、義務を課すか、権利を制限すること

特定の者には、個人だけでなく会社などの法人も含まれます。単に不快・不便になるだけでは足りず、法的な義務を課したり、権利を制限したりすることが必要です。

不利益処分の具体例

不利益処分の具体例として、許認可の取消しや停止、役員の解任命令などが挙げられます。いずれも、特定の者を名あて人として、相手方に義務を課したり、権利を制限したりする処分です。

判断では、誰に対して行われた処分か、そしてどのような法的効果を直接生じさせるかを確認します。

不利益処分に該当しない4つの処分

行政手続法2条4号は、次の処分を不利益処分から除外しています。

  • 事実上の行為など:行政上の強制執行や即時強制などの事実上の行為、及び事実上の行為をするに当たり、その範囲や時期などを明らかにするために法令上必要とされる手続としての処分
  • 申請を拒否する処分:不利益な結果でも、不利益処分ではなく、申請に対する処分として扱われるもの
  • 本人の同意を前提とする処分:名あて人となる者の同意がなければ行えない処分
  • 基礎事実の消滅を理由に許可の効力を失わせる処分:許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があり、それを理由に許可の効力を失わせる場合

不利益処分に関する行政手続法の規定が適用されないケース

行政手続法3条1項による適用除外

不利益処分に該当しても、行政手続法の「申請に対する処分」「不利益処分」「行政指導」「処分等の求め」に関する規定が適用されない場合があります。

  • 国会の両院若しくは一院又は議会の議決による処分、裁判所・裁判官の裁判や裁判の執行として行われる処分
  • 国会や議会の議決、同意、承認を経て行われる処分
  • 会計検査院の検査官会議で決定される処分や、会計検査に際して行われる行政指導
  • 刑事事件、国税・地方税の犯則事件、金融商品取引の犯則事件に関する処分・行政指導
  • 学校・講習所・訓練所・研修所で、教育、講習、訓練、研修の目的を達成するために行われる処分・行政指導
  • 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所で、収容の目的を達成するために行われる処分・行政指導
  • 公務員または公務員であった者の職務・身分に関する処分・行政指導
  • 外国人の出入国、難民認定、補完的保護対象者の認定、帰化に関する処分・行政指導
  • 専ら人の学識・技能に関する試験や検定の結果についての処分
  • 相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的とする裁定など、双方を名あて人とする処分・行政指導
  • 公衆衛生、環境保全、防疫、保安などの公益に関わる事象が発生し、又は発生する可能性のある現場で、警察官、海上保安官その他法律上直接に権限を与えられた職員が行う処分・行政指導
  • 報告や物件の提出を命じるなど、職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的とする処分・行政指導
  • 審査請求などの不服申立てに対する裁決・決定その他の処分
  • 不利益処分の聴聞や弁明の機会の付与など、意見陳述の手続で行われる処分・行政指導

したがって、処分が不利益な内容であっても、まず行政手続法2条4号の不利益処分に当たるかを確認し、次に3条1項の適用除外に該当しないかを確認することが重要です。