民衆訴訟とは?住民訴訟や選挙訴訟との関係を解説

民衆訴訟とは、国や公共団体の機関による法規に適合しない行為の是正を求める訴訟です。個人の権利利益の保護を目的とする訴訟ではなく、行政作用の適法性を確保するための訴訟です。

民衆訴訟とは

行政作用の適法性を確保するための訴訟

行政事件訴訟法5条は、民衆訴訟を「国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟」と定めています。原告は、自己の法律上の利益に関係しない資格、たとえば選挙人たる資格などに基づいて訴えを提起します。

民衆訴訟は客観訴訟に分類される

行政事件訴訟には、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟があります。このうち、抗告訴訟と当事者訴訟は、個人の権利利益の保護を目的とする主観訴訟です。

これに対し、民衆訴訟は機関訴訟と同じく、行政作用の適法性を確保する客観訴訟にあたります。客観訴訟は「法律上の争訟」には該当せず、法律に特別の定めがある場合に限って提起できます。

民衆訴訟を提起できる人と手続上の特徴

法律で定められた資格を持つ人に限られる

民衆訴訟は、誰でも自由に起こせるわけではありません。行政事件訴訟法42条により、法律に特別の定めが必要であり、その法律が定める資格を持つ者だけが提起できます。

取消しを求める場合には特別な扱いがある

民衆訴訟のうち、処分や裁決の取消しを求めるものについては、原則として取消訴訟に関する規定が準用されます。ただし、原告適格に関する規定と、取消しの理由を制限する規定は準用されません(行政事件訴訟法43条1項)。したがって、一般の取消訴訟とまったく同じ要件で判断されるわけではありません。

住民訴訟や選挙訴訟との関係

住民訴訟は民衆訴訟の一つ

地方自治法242条の2に定められた住民訴訟は、民衆訴訟の具体例です。提起の要件や手続は、地方自治法の規定に従って判断されます。

選挙訴訟も民衆訴訟にあたる

公職選挙法上の選挙の効力に関する訴訟も、民衆訴訟の具体例です。選挙人たる資格など、自己の法律上の利益にかかわらない資格に基づいて提起されます。

つまり、住民訴訟と選挙の効力に関する訴訟は別々の制度ですが、どちらも民衆訴訟に含まれます。

まとめ

民衆訴訟とは、国や公共団体の機関による法規に適合しない行為の是正を求める客観訴訟です。法律に特別の定めがある場合に限り、法律で定められた資格を持つ者が提起できます。地方自治法上の住民訴訟や、公職選挙法上の選挙の効力に関する訴訟は、その具体例にあたります。