地方公共団体の長とは、都道府県の知事と、市町村の市町村長を指します(地方自治法139条)。長は、地方公共団体を代表し、行政事務を管理・執行する中心的な立場です。
ただし、行政事務のすべてを長が単独で処理するわけではありません。法律に基づいて置かれる教育委員会、選挙管理委員会、監査委員なども、それぞれの権限に属する事務を担当します。これらの執行機関は長の所轄下にありますが、担当事務については、長の指揮監督を受けずに処理します。
地方公共団体の長とは
知事と市町村長の位置づけ
地方公共団体には、長のほか、法律で定められた委員会や委員が置かれます(地方自治法138条の4第1項)。各執行機関は、条例、予算、議会の議決、法令、規則などに基づく事務を、自らの判断と責任で誠実に管理・執行します。
執行機関同士は連絡を取り、行政全体として機能するように運営されます。権限の範囲について疑いが生じた場合、長はその調整に努めます(138条の3第3項)。
長の基本的な役割
長には、主に次の役割があります。
- 地方公共団体を統轄し、外部に対して代表する(147条)
- 地方公共団体の事務を管理し、執行する(148条)
- 議会の議決や法令などに基づく事務を、自らの判断と責任で処理する
地方公共団体の長に認められる主な権限
行政を統括・執行する権限
地方自治法149条は、長が担当する事務を例示しています。たとえば、議会に提出する議案の作成、予算の調製・執行、地方税や使用料などの徴収、決算を議会の認定に付すこと、会計の監督があります。
そのほか、財産の取得・管理・処分、公の施設の設置・管理・廃止、証書や公文書類の保管も長の担任事務です。
規則を制定する権限
長は、地方公共団体の事務に関する規則を定められます(15条)。規則は、担当する行政事務を具体的に運用するためのルールです。
職員などを指揮監督する権限
長は、補助機関である職員を指揮監督し(154条)、一般職員を任免します(172条1項・2項)。また、議会の同意を得て、副知事・副市町村長を選任します(162条)。副知事・副市町村長は長を補佐し、政策や企画を担当するほか、一定の場合に長の職務を代理します。
行政庁や公共的団体に関する権限
長は、管理に属する行政庁が行った処分を取り消し、または停止できます(154条の2)。また、区域内の公共的団体などについて、活動の総合調整を図るため、指揮監督できる場合があります(157条1項)。
長の権限を代理・委任できる場合
長に事故がある場合・長が欠けた場合
長に事故があるとき、または長が欠けたときは、副知事または副市町村長が職務を代理します(152条1項)。たとえば、知事が一時的に職務を行えない場合、副知事が知事に代わって必要な行政上の手続を進めます。
権限に属する事務を委任・臨時代理させる場合
長は、権限に属する事務の一部を、補助機関である職員に委任できます。また、職員に臨時に代理させたり、管理に属する行政庁へ委任したりすることも可能です(153条)。
これは長の権限全体を無制限に移す制度ではなく、対象となる事務の一部について行われるものです。
まとめ
地方公共団体の長は、都道府県では知事、市町村では市町村長です。地方公共団体を統轄・代表し、予算、税や使用料、財産、公の施設などに関する事務を管理・執行します。また、規則の制定、職員の指揮監督、副知事・副市町村長の選任などの権限も持ちます。
ただし、行政委員会が担当する事務まで、長が自由に指揮監督できるわけではありません。長が職務を行えない場合には副知事・副市町村長が代理し、事務の一部を職員や行政庁に委任することもできます。
