国家賠償法3条の賠償責任者とは?費用負担者の責任と求償権を解説

国家賠償法3条は、公務員の選任・監督や公の営造物の設置・管理をする者だけでなく、その費用を負担する者にも賠償責任を負わせる規定です。この記事では、国家賠償法3条の「賠償責任者」に該当する者と、賠償後の求償権について解説します。

国家賠償法3条の「賠償責任者」とは

管理・監督する者と費用を負担する者が異なる場合

国家賠償法3条1項は、国家賠償法1条または2条の場面で、公務員の選任・監督をする者と公務員の給与その他の費用を負担する者、または公の営造物の設置・管理に当たる者と設置・管理の費用を負担する者が異なるとき、費用負担者もその損害を賠償する責任を負うと定めています。

国家賠償法3条1項で費用負担者が責任を負う場面

公務員の違法行為に関する場合

国家賠償法1条は、公務員が職務上、故意または過失によって違法に他人へ損害を与えた場合の責任を定めています。このとき、公務員を選任・監督する者と、その公務員の俸給、給与その他の費用を負担する者が異なれば、費用負担者も賠償責任を負います。

公の営造物の設置・管理に関する場合

国家賠償法2条は、公の営造物に設置または管理上の瑕疵があり、そのために損害が生じた場合の責任を定めています。

公の営造物を設置・管理する者と、設置・管理の費用を負担する者が異なるときは、費用負担者もその損害を賠償する責任を負います。

補助金を交付している者が責任を負うことがある場合

補助金を交付している立場の者であっても、費用を負担する者と同等またはこれに近い費用を負担し、実質的に事業を共同で執行していると認められ、かつ、営造物の瑕疵による危険を効果的に防止できる者については、賠償責任を負うことがあります(最判昭50・11・28)。

賠償した者が費用負担者などに求償できる場合

国家賠償法3条2項は、3条1項により被害者へ損害を賠償した者が、内部関係でその損害を賠償する責任のある者に対して求償権を有すると定めています。

例えば、市立中学校において、県が給与や費用を負担している教職員の体罰について、県が被害者に損害賠償を支払った場合、教職員の人件費以外の事務経費を負担する市に対し、賠償した損害の全額を求償できると判示されています(最判平21・10・23)。

まとめ:国家賠償法3条の賠償責任者を判断するポイント

  • 1条の公務員の違法行為では、選任・監督する者と給与その他の費用を負担する者が異なる場合、費用負担者も賠償責任を負う。
  • 2条の公の営造物の設置・管理上の瑕疵では、設置・管理する者とその費用を負担する者が異なる場合、費用負担者も賠償責任を負う。
  • 補助金の交付だけでなく、費用負担の程度、事業への関与、危険を防止できる立場にあるかなどが問題となる。
  • 賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任のある者に対して求償権を有する。

具体的には、①誰が公務員を選任・監督し、または営造物を設置・管理していたか、②誰が給与その他の費用や設置・管理費用を負担していたか、③内部関係で誰が損害を賠償する責任を負うかを分けて確認することが重要です。