当事者訴訟とは、行政庁の公権力の行使を対象とするのではなく、対等な当事者間の公法上の法律関係を対象とする訴訟です。行政事件訴訟法4条に定められており、「形式的当事者訴訟」と「実質的当事者訴訟」に分けられます。
当事者訴訟とは
行政事件訴訟法上の位置づけ
行政事件訴訟には、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟があります。このうち、抗告訴訟と当事者訴訟は、個人の権利利益を守ることを目的とする「主観訴訟」です。
抗告訴訟が、行政庁の公権力の行使に関する不服を対象とするのに対し、当事者訴訟では、対等な当事者間の法律関係そのものが問題になります。
当事者訴訟の基本的な意味
当事者訴訟では、公法上の法律関係について、確認や金銭の支払いなどを求めます。公法上の権利義務や法律関係の存否を、当事者間の訴訟によって解決する点に特徴があります。
形式的当事者訴訟とは
形式的当事者訴訟の意味
形式的当事者訴訟とは、実質は抗告訴訟ですが、法律の規定により当事者訴訟によって解決することとされている訴訟です。
形式的当事者訴訟の例として、土地収用法に基づいて収用委員会が権利取得裁決をする際の、補償額に関する部分についての当事者訴訟があります。
形式的当事者訴訟の特徴
形式的当事者訴訟は、個別の法律により認められたものに限られます。当事者が自由にこの形式を選べるわけではありません。
実質的当事者訴訟とは
実質的当事者訴訟の意味
実質的当事者訴訟とは、行政庁の処分の取消しではなく、公法上の法律関係そのものを対象とする訴訟です。行政事件訴訟法4条後段に定められ、公法上の法律関係に関する確認の訴えや、金銭の支払いを求める給付訴訟などが含まれます。
たとえば、国や地方公共団体を被告とする公務員の給与支払請求訴訟、憲法29条3項に基づく損失補償請求訴訟、国を被告とする日本国籍を有することの確認の訴えがあります。
形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟の違い
| 区分 | 形式的当事者訴訟 | 実質的当事者訴訟 |
|---|---|---|
| 争いの実質 | 実質は抗告訴訟 | 公法上の法律関係そのもの |
| 提起できる場合 | 個別法に特別な定めがある場合 | 公法上の法律関係に関する場合 |
| 覚え方 | 実質は抗告訴訟、形式は当事者訴訟 | 公法上の法律関係を直接争う |
両者はいずれも行政事件訴訟法上の当事者訴訟ですが、形式的当事者訴訟では実質的に抗告訴訟の問題を扱う一方、実質的当事者訴訟では公法上の法律関係そのものが問題となります。
まとめ
- 当事者訴訟とは、対等な当事者間の公法上の法律関係を対象とする訴訟です。
- 形式的当事者訴訟は、実質は抗告訴訟ですが、法律の定めにより当事者訴訟として提起します。
- 実質的当事者訴訟は、公法上の法律関係を直接争います。
