行政手続法の「申請」と「届出」の違いとは?定義と判断ポイントを解説

行政手続法上の「申請」と「届出」は、どちらも行政庁に対して行う手続です。しかし、最も重要な違いは、行政庁に諾否の応答義務があるかどうかです。

行政手続法における「申請」と「届出」の定義

申請とは、許認可などの利益を求める行為

行政手続法2条3号の「申請」とは、法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自分に利益を与える処分を求める行為で、行政庁が諾否の応答をすべきものをいいます。

一方、請願や陳情のように、行政庁に応答の義務がない行為は、行政手続法上の申請には当たりません。

届出とは、法令上義務付けられた通知

行政手続法2条7号の「届出」とは、行政庁に一定の事項を通知する行為で、申請に当たらず、法令によってその通知が直接義務付けられているものをいいます。自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるために通知が必要とされている場合も含まれます。

届出では、行政庁に諾否の応答義務はありません。

申請と届出の違いを判断する3つのポイント

①行政庁に許可・認可などの判断を求めているか

自分に利益を付与する処分を求めるなら申請、一定の事項を知らせる行為であれば届出となり得ます。申請も行政庁への通知をする行為であるため、届出の定義からは除かれます。

②行政庁に諾否の応答義務があるか

申請では、行政庁に諾否の応答義務があります。届出では、行政庁に諾否の応答義務はありません。「行政庁の応答義務があるか」が中心的な区別です。

③通知が法令によって直接義務付けられているか

届出に当たるには、通知が法令上、直接義務付けられている必要があります。請願などは、法令で直接通知が義務付けられていないため、届出ではありません。

項目 申請 届出
内容 許可・認可・免許などを求める 一定の事項を通知する
行政庁の対応 諾否の応答義務がある 諾否の応答義務はない
法令上の位置付け 許認可等を求める根拠がある 通知が直接義務付けられている

届出はいつ完了するのか

行政手続法37条では、届出書に不備がなく、必要書類が添付されているなど、法令上の形式的要件を満たした届出は、法令により提出先とされている機関の事務所に到達した時点で、届出をすべき手続上の義務を履行したものとされます。

つまり、行政庁が内容を認めたか、受理したかは、届出の完了時期を左右しません。申請が行政庁の判断を受ける手続であるのに対し、届出は形式要件を満たして到達すれば完了する点が異なります。ただし、形式要件を満たさない届出の扱いは、行政手続法で一律に定められておらず、個別法の解釈によります。

まとめ

申請は、許可・認可・免許など、自分に利益を付与する処分を求める行為であり、行政庁には諾否の応答義務があります。届出は、法令により直接義務付けられた事項を通知する行為で、行政庁に応答義務はありません。

判断するときは、許認可等を求めているか、行政庁の応答義務があるか、通知が法令上直接義務付けられているかを確認しましょう。