地方自治体の予算は誰が作成・議決する?予算の調製と議会の議決を解説

地方自治体の予算は誰が作成し、誰が決める?

予算を調製するのは地方自治体の長

地方自治体の予算を調製し、議会に提出するのは、地方自治体の長です。都道府県であれば知事、市町村であれば市町村長が担当します。

法律上、この作業を「予算の調製」といいます。調製とは、1年間に見込まれる収入(歳入)と支出(歳出)などを整理し、予算としてまとめることです。

地方自治法211条1項により、長は毎会計年度、予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければなりません。普通地方公共団体の会計年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までです(同法208条1項)。

予算を議決するのは地方議会

長が調製した予算は、地方議会に提出されます。議会は、その内容を審議したうえで、可決、否決、または修正議決をします。

つまり、予算を調製・提出するのは長、予算を議決するのは議会という役割分担です。長が予算を調製しただけで、議会の議決を経ずにそのまま予算を執行できるわけではありません。

予算の調製から議会の議決までの流れ

長が予算を調製して議会に提出する

長は、会計年度が始まる前に議会の議決を経られるよう、予算を調製して提出します。提出期限は、地方自治法211条1項で次のように定められています。

  • 都道府県・指定都市:年度開始前30日まで
  • その他の市・町村:年度開始前20日まで

予算は、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費、債務負担行為、地方債、一時借入金、歳出予算の各項の経費の金額の流用から成り立ちます(同法215条)。

議会が予算を審議し、議決する

議会で審議された結果、予算は主に次のいずれかになります。

  • 原案どおり可決される
  • 否決される
  • 一部を変更して修正議決される

可決されれば、議決された内容で予算が成立します。否決された場合は、提出された内容のままでは成立しません。修正議決では、議会が予算の一部を削除・減額・増額することがあります。

議会は予算をどこまで修正できる?

削除・減額修正は原則として制限されない

議会は、予算項目を削除したり、計上された金額を減らしたりする修正を、原則として制限なく行えます。そのため、長が提出した予算が、必ず原案どおり成立するとは限りません。

増額修正には長の予算提出権との関係で限界がある

議会が予算を増額して議決すること自体は、地方自治法上、禁止されていません(同法97条2項)。ただし、増額修正によって、予算を調製して提出する権限を持つ長の予算提出権を侵すことはできません。

したがって、議会には修正権がありますが、その行使には、長に予算提出権があるという前提があります。

長は議決に異議がある場合、再議に付すことができる

議会の議決に異議がある場合、長はその議決を再議に付すことができます(地方自治法176条1項)。

地方自治体の予算の調製・議決に関するまとめ

  • 予算を調製して議会に提出するのは、知事や市町村長などの地方自治体の長
  • 提出された予算を審議し、議決するのは地方議会
  • 予算は、議会の議決を経て成立する
  • 議会は予算を修正できるが、増額修正によって長の予算提出権を侵すことはできない
  • 議決に異議がある場合、長は再議に付すことができる