地方公共団体の長の職務代理と権限委任とは?副知事・副市町村長の役割も解説

都道府県知事や市町村長が職務を行えない場合、誰が代わりに対応するのでしょうか。地方自治法には、長の職務を代わりに行う「職務代理」と、長の事務の一部を他の職員に任せる「権限委任」が定められています。両者は似ていますが、要件や対象が異なります。

地方公共団体の長と副知事・副市町村長の関係

地方公共団体の長とは

都道府県には知事、市町村には市町村長が置かれます。長は、地方公共団体を統轄して代表し、その事務を管理・執行する立場です。

具体的には、予算の調製・執行、財産の取得や管理、公の施設の設置・管理など、自治体の事務全般を担います。

副知事・副市町村長の役割

副知事・副市町村長は、長の最高補佐機関です。長の命を受けて政策や企画を担当し、補助機関である職員の事務を監督します。

副知事・副市町村長は、長が議会の同意を得て選任します。1人置かれますが、条例によって置かないこともできます。また、長に事故があるとき、または長が欠けたときには、法律上、長の職務を代理します。

地方公共団体の長の「職務代理」とは

職務代理が行われる場合

長に事故があるとき、または長が欠けたときは、副知事または副市町村長が長の職務を代理します(地方自治法152条1項)。

職務代理の意味と副知事・副市町村長の立場

職務代理は、長が職務を行えない場合に、副知事・副市町村長が法律の定めに基づいて長の職務を代理する制度です。通常の補佐として政策を担当することとは異なり、長に事故があることや長が欠けたことを理由として、長の職務を代理する点に特徴があります。

地方公共団体の長の「権限委任」とは

権限委任の仕組み

長は、自分の権限に属する事務の一部を、補助機関である職員に委任できます(地方自治法153条)。長の事務全体を任せる制度ではなく、事務の一部を対象とします。また、長の管理に属する行政庁に委任することもできます。

権限委任は、長が職務を行えない場合に限らず、長の権限に属する事務の一部を他の職員などに処理させる制度です。

権限委任と臨時代理の違い

長は、権限に属する事務の一部を職員に委任するだけでなく、臨時に代理させることもできます。これらは、特定の事務を対象とする153条の仕組みです。

これに対し、152条の職務代理は、長に事故がある、または長が欠けた場合に、副知事・副市町村長が長の職務を代理する制度です。

職務代理と権限委任の違い

比較項目 職務代理 権限委任・臨時代理
根拠 地方自治法152条1項 地方自治法153条
きっかけ 長に事故がある、または長が欠けたとき 長が権限に属する事務の一部を委任または臨時に代理させるとき
対象 長の職務 長の権限に属する事務の一部
相手方 副知事・副市町村長 補助機関である職員、管理に属する行政庁など

つまり、職務代理は「長に事故がある場合や長が欠けた場合の職務代理」、権限委任は「長の権限に属する事務の一部を他の職員などに処理させる制度」です。同じように「代理」という言葉が使われても、根拠条文と対象が異なるため、区別して理解する必要があります。

まとめ

  • 地方公共団体の長は、自治体の事務を管理・執行します。
  • 副知事・副市町村長は長を補佐し、長に事故があるときや長が欠けたときには職務を代理します。
  • 長に事故がある場合や長が欠けた場合の職務代理は、地方自治法152条1項に基づきます。
  • 特定の事務の一部を職員などに任せる権限委任・臨時代理は、同法153条に基づきます。