被保佐人とは、精神上の障害によって事理を弁識する能力が著しく不十分であり、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた人をいいます。判断能力が著しく不十分な状態にあるだけでは、法律上の被保佐人にはなりません。
被保佐人とは
被保佐人の定義
「事理を弁識する能力」とは、自分の行為によってどのような結果が生じるのかを判断する能力です。家庭裁判所が保佐開始の審判をすると、職権で保佐人が付けられます(民法11条・12条、876条の2第1項)。
保佐人の権限
保佐人には、主に同意権・取消権・追認権があります。保佐人は原則として代理権を持ちません。ただし、家庭裁判所が特定の法律行為について代理権を付与する審判をした場合は、その範囲で代理できます(民法876条の4第1項)。本人以外の請求で代理権付与の審判をするには、本人の同意が必要です(同条2項)。
また、家庭裁判所は、日用品の購入など日常生活に関する行為を除き、法律で定められた行為以外についても、保佐人の同意を必要とする審判をすることがあります。実際の同意の範囲は、個別の審判内容も確認しましょう。
被保佐人ができる法律行為と同意が必要な行為
原則として単独で法律行為ができる
被保佐人は、原則として単独で有効に契約などの法律行為をできます。日用品の購入など日常生活に関する行為にも、保佐人の同意は必要ありません(民法13条1項ただし書)。
一方、次のような重要な行為には、原則として保佐人の同意が必要です(同項)。
- 貸金などの元本を受け取る、または元本を利用すること
- 借金をすること、または保証人になること
- 不動産や、株式・著作権など重要な財産を取引すること
- 訴えを起こすなどの訴訟行為をすること(訴えられた場合に応じることは含まれません)
- 贈与、和解、仲裁合意をすること
- 相続の承認・放棄や遺産分割をすること
- 贈与の申込みを拒絶すること、遺贈を放棄すること、負担付の贈与の申込みを承諾すること、負担付の遺贈を承認すること
- 新築・改築・増築・大修繕を目的とする請負契約をすること
- 原則として、土地は5年、建物は3年を超える賃貸借をすること
- 上記の行為を、制限行為能力者の法定代理人としてすること
例えば、単に利息や賃料を受け取るだけなら同意は不要ですが、貸した元金の返済を受ける行為や、不動産を賃貸して利用する行為は、元本の受領・利用にあたり同意が必要です。
同意を得ずに行為をした場合
同意が必要な行為を、保佐人の同意または同意に代わる家庭裁判所の許可を得ずに行った場合、被保佐人または保佐人はその行為を取り消せます(民法13条4項)。ただし、後から追認すれば、取り消さずに有効な行為として確定できます。
保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意しない場合、被保佐人は家庭裁判所に対し、保佐人の同意に代わる許可を求めることができます(同条3項)。
まとめ
被保佐人とは、判断能力が著しく不十分で、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた人です。保佐人は原則として代理人ではなく、主に同意権・取消権・追認権を持ちます。被保佐人は法律行為をすべて制限されるわけではありませんが、借金、不動産取引、訴訟、相続など重要な行為には、保佐人の同意が必要です。
