制限行為能力者も代理人になれます。そして、原則として、代理人が制限行為能力者であることだけを理由に、代理行為を取り消すことはできません。ただし、別の制限行為能力者の法定代理人として行為した場合には、例外があります。
制限行為能力者も代理人になれる
代理人の行為の効果は本人に帰属する
代理とは、代理人が本人に代わって法律行為をし、その効果を本人に生じさせる制度です。
そのため、未成年者や成年被後見人などの制限行為能力者であっても、代理人になれないわけではありません。
代理行為の効果を本人に生じさせるための基本
代理行為の効果を本人に生じさせるには、基本的に次の2点が必要です。
- 代理人に代理権があること
- 本人のために行為をすることを相手方に示すこと(顕名)
たとえば、Aから土地売買の代理権を与えられたBが、Aのためにすることを示して、相手方Cと売買契約を締結したとします。この場合、代理権の範囲内であれば、契約の効果はBではなくAに生じます。
原則として、代理行為は制限行為能力を理由に取り消せない
民法102条の原則
民法102条は、制限行為能力者が代理人としてした行為について、行為能力の制限を理由とする取消しを認めていません。本人が代理人を選んだ任意代理の場合も、代理人が未成年者などであることだけでは、代理行為を取り消せません。
これは、代理行為の効果が本人に帰属し、代理人自身が代理行為によって不利益を受ける立場ではないためです。つまり、「代理人が制限行為能力者であること」と「代理行為を取り消せること」は別の問題です。
例外的に代理行為を取り消せる場合
他の制限行為能力者の法定代理人として行為したとき
例外は、制限行為能力者が、別の制限行為能力者の法定代理人として行為した場合です。この場合は、代理人の行為能力の制限を理由に、代理行為を取り消せます。
たとえば、未成年者の親権者が後見開始の審判を受けた成年被後見人であり、未成年者の法定代理人として契約を締結したケースです。未成年者は法定代理人を自分の意思で選んだわけではないため、未成年者を保護する必要があります。
任意代理との違い
本人が自分の意思で制限行為能力者に代理を任せた任意代理では、原則どおり、制限行為能力を理由とする取消しはできません。判断する際は、任意代理か法定代理か、そして本人も別の制限行為能力者かを確認しましょう。
まとめ
- 制限行為能力者も代理人になれる
- 原則として、代理人の制限行為能力を理由に代理行為は取り消せない
- 代理行為の効果は本人に帰属する
- 制限行為能力者が、他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は例外的に取り消せる
