物権的請求権とは?返還請求・妨害排除請求・妨害予防請求を解説

物権的請求権とは、所有権などの物権を有する者が、その権利を侵害する者に対して、物の返還や妨害の排除、妨害の予防を求める権利です。主な種類には、物権的返還請求権、物権的妨害排除請求権、物権的妨害予防請求権の3つがあります。

物権的請求権とは

物権的請求権の意味

物権は、所有権のように、特定の相手だけでなく原則として誰にでも主張できる権利です。物権的請求権は、その物権を実現するために、物の返還や妨害の排除、妨害の予防を求めるための請求権といえます。

物権的請求権を行使できる者

原則として、所有権や地上権など、法律上、物の占有・支配が認められる正当な権利(本権)を持つ者が行使します。

物権的請求権の3種類

物権的返還請求権

所有者など占有を伴う物権を有する者が目的物の占有を失った場合に、権原なく目的物を占有する者に対して、目的物の返還を求める権利です。たとえば、Aが所有する自転車をBに奪われた場合、AはBに自転車の返還を請求できます。

物権的妨害排除請求権

占有以外の方法で、物権の行使が現に妨害されている場合に、その妨害の排除を求める権利です。たとえば、Aが所有する甲土地に隣接するB所有の乙土地上の大木が、台風のため甲土地に倒れてきた場合、AはBに大木の撤去を請求できます。

物権的妨害予防請求権

物権の行使が妨害されるおそれがある場合に、その妨害の予防を求める権利です。たとえば、甲土地に倒れてくるおそれのある傾いた大木がある場合、AはBに予防措置を講じるよう請求できます。

種類 問題となる状態 求める内容
物権的返還請求権 目的物の占有を失っている 目的物の返還
物権的妨害排除請求権 物権の行使が現に妨害されている 妨害の排除
物権的妨害予防請求権 物権の行使が妨害されるおそれがある 妨害の予防

故意・過失は要件ではない

物権的請求権を行使する場合、相手方の故意または過失は要件とはなりません。

物権的請求権の相手方

原則として請求の相手方となる者

物権的請求権を行使する相手方は、原則として、権原なく目的物を占有している者、またはそのおそれがある者です。

たとえば、Aが所有する甲土地上に、Bが権原なく乙建物を建設してCに譲渡した場合、実際に乙建物を所有して甲土地を占拠しているCを被告として、建物収去および土地の明渡しを請求することになります。

相手方に関する例外

A所有の甲土地上に権原なくB所有の登記済みの乙建物が存在し、Bが乙建物をCに譲渡した後も建物登記をB名義のままとしていた場合、その登記がBの意思に基づいてされたときは、Bは、Aに対する乙建物の収去および甲土地の明渡しの義務を免れることができません。

一方、D所有の丙土地上に権原なくE所有の未登記の丁建物が存在し、Eが丁建物を未登記のままFに譲渡した場合、Eは確定的に所有権を失います。その後、Eの意思に基づかずE名義に所有権取得の登記がされても、EはDに対して丁建物の収去および丙土地の明渡しの義務を負いません。

まとめ

物権的請求権には、目的物を取り戻す物権的返還請求権、現に生じている妨害をなくす物権的妨害排除請求権、将来の妨害を防ぐ物権的妨害予防請求権があります。相手方の故意・過失は要件ではありませんが、相手方や登記の状況によって例外的な取扱いがあります。