錯誤とは?表示の錯誤と動機の錯誤の違いをわかりやすく解説

錯誤とは?思い違いによる意思表示のこと

錯誤の意味

錯誤とは、意思を決定するに至った動機から意思決定を表示するまでの過程で、誤った判断や認識があり、そのことを知らないまま意思表示をすることです。簡単にいえば、思い違いをしたまま意思表示をすることを指します。

錯誤には、意思を決定してから表示行為に至るまでに思い違いをした「表示の錯誤」と、意思を形成する前や前提となる事情の段階で思い違いをした「動機の錯誤」があります。

表示の錯誤と動機の錯誤の違い

両者の違いは、思い違いが生じた段階にあります。

  • 表示の錯誤:意思を決定してから表示行為に至るまでの間に、表示の内容を間違えること
  • 動機の錯誤:意思表示をする前提となる事情を間違えること

表示の錯誤は「何を表示するか」の間違いであり、動機の錯誤は意思表示の前提となる事情の間違いです。いずれも、錯誤が法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものである必要があります。

表示の錯誤とは

表示の錯誤の意味と要件

表示の錯誤とは、意思表示に対応する意思を欠いている場合をいいます。たとえば、100平方メートルと記載するつもりで、100坪と記載したような場合です。

表示の錯誤による取消しには、次の要件が必要です。

  1. 意思表示に対応する意思を欠いていること
  2. 錯誤が、法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要であること

動機の錯誤とは

動機の錯誤の意味と要件

動機の錯誤とは、法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反している場合をいいます。たとえば、鉄道会社による新設駅の噂を信じて土地の値上がりを見込んで土地を購入したところ、噂がデマにすぎなかった場合です。

動機の錯誤による取消しには、次の要件が必要です。

  1. 法律行為の基礎とした事情について、認識が真実に反していること
  2. 錯誤が、法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要であること
  3. 法律行為の基礎とした事情が相手方に表示されていること

事情の表示は、言葉などで明確に伝えた場合に限られません。動機が黙示的に表示されている場合であっても、その事情が法律行為の内容となることを妨げないとされています。

錯誤による取消しの条件と例外

原則として意思表示を取り消せる

表示の錯誤または動機の錯誤に該当し、重要な錯誤などの要件を満たす場合、意思表示を取り消せます。

表意者に重大な過失がある場合

表意者に重大な過失がある場合、原則として錯誤による取消しはできません。ただし、次の場合は例外です。

  • 相手方が錯誤を知っていた場合
  • 相手方が重大な過失によって錯誤を知らなかった場合
  • 相手方も同じ錯誤に陥っていた場合

善意・無過失の第三者との関係

錯誤による意思表示の取消しは、錯誤を知らず、知らなかったことにも過失がない第三者に対抗することができません。

まとめ

錯誤とは、思い違いをしたまま意思表示をすることです。表示の錯誤は表示内容の間違い、動機の錯誤は意思表示の前提となる事情の間違いを意味します。

どちらも、法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤であることが必要です。また、動機の錯誤では前提となる事情が相手方に表示されていなければなりません。表意者に重大な過失がある場合や、善意・無過失の第三者が関係する場合には、取消しが制限されます。