通常、意思表示は、通知が相手方に届いた時点で効力を生じます。しかし、相手方が誰なのかわからない場合や、相手方の住所など所在がわからず、通常の方法では通知できない場合があります。
このような場面で利用されるのが、公示による意思表示です。民法98条に定められた特別な意思表示の方法で、一定の公示を行い、法律上定められた期間が経過すると、相手方に届いたものとして扱われます。
公示による意思表示とは
公示による意思表示とは、表意者が相手方を知ることができない、または相手方の所在を知ることができないときに、公示によって意思表示をする制度です。
たとえば、ある法律関係について通知をしなければならないにもかかわらず、相手方の氏名や住所を調べても特定できない場合が考えられます。この場合、相手方へ直接通知する代わりに、裁判所を通じた公示の手続を利用します。
通常の意思表示では、相手方に通知が到達した時から効力が生じます。一方、公示による意思表示では、実際に相手方が内容を読んだかどうかにかかわらず、一定期間の経過によって到達したものとみなされます。
公示による意思表示の方法
公示は、公示送達に関する民事訴訟法の規定に従って行われます。原則として、次の方法がとられます。
- 裁判所の掲示場に掲示する
- 掲示したことを官報に少なくとも1回掲載する
ただし、裁判所が相当と認める場合には、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場、またはこれらに準ずる施設の掲示場に掲示するよう命じることがあります。どの方法で公示するかは、裁判所の判断によります。
効力が生じる時期と注意点
原則は、公示から2週間後
官報に掲載した場合は、最後に掲載した日から2週間が経過した時に、相手方へ意思表示が到達したものとみなされます。
官報への掲載に代えて掲示を行った場合は、その掲示を始めた日から2週間が経過した時が基準です。相手方が公示の内容を実際に確認していなくても、法律上は到達の効果が生じます。
表意者に過失がある場合は効力が生じない
もっとも、相手方またはその所在が不明であることについて、表意者に過失があった場合には、公示による意思表示は到達の効力を生じません。
したがって、相手方や所在がわからないというだけで、必ず公示の効力が認められるわけではありません。
まとめ
- 公示による意思表示は、相手方またはその所在が不明な場合に用いる方法
- 原則として、裁判所の掲示場への掲示と官報への掲載で行う
- 最後の官報掲載日、または代替掲示の開始日から2週間で到達したものとみなされる
- 表意者に過失がある場合は、到達の効力が生じない
