付合・混和・加工で所有権や担保物権はどうなる?償金請求も解説

付合・混和・加工は、物が一体化したり、他人の物から新しい物が作られたりしたときに、所有権の帰属を決める民法上のルールです。元の物の所有権が消滅すると、先取特権や質権などの担保物権にも影響します。一方、所有権を失った者は、一定の場合に償金を請求できます。

付合・混和・加工とは?それぞれの意味

付合とは

付合とは、不動産や動産に別の物が附属し、利用上または社会経済上、容易には分離できなくなることです。たとえば、建物にベランダを附属させた場合や、機械に部品を組み込んだ場合などが挙げられます。不動産への付合と、動産同士の付合があります。

混和とは

混和とは、各別の所有に属する動産が混合・融和して、どの部分が誰の物か識別できなくなることです。液体や穀物などが典型例で、混和後の所有権は、動産の付合に関するルールによって判断されます。

加工とは

加工とは、他人の動産に工作を加え、新たな物を作ることです。付合・混和が物同士の一体化であるのに対し、加工は、材料に手を加えて別の物を制作する点に特徴があります。

付合・混和・加工によって所有権はどうなる?

不動産に動産が付合した場合

原則として、不動産の所有者が、そこに付合した動産の所有権を取得します。ただし、地上権・永小作権・賃借権などの権原に基づいて他人が附属させた物については、その者の権利を妨げません。したがって、不動産所有者が常に取得するわけではなく、付合させた者に権原があるかが重要です。

動産が付合した場合

所有者が異なる動産が、損傷しなければ分離できない、または分離するのに過分な費用がかかるときに問題となります。主たる動産を区別できる場合は、合成物の所有権は主たる動産の所有者に帰属します。主従を決められない場合は、各所有者が、付合時の価格の割合に応じて合成物を共有します。主従は、合成物の機能的な性質や各動産の価格などから判断されます。

混和によって所有権が変わる場合

混和には、動産の付合に関する規定が準用されます。混ざった後の物について主従の区別ができれば主たる動産の所有者が単独で所有し、区別できなければ価格割合に応じた共有となります。

加工によって所有権が変わる場合

原則として、加工物の所有権は材料の所有者に帰属します。ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者が所有権を取得します。加工者が材料の一部も提供した場合は、提供した材料の価格と工作によって生じた価格の合計が、他人の材料価格を超えるときに限り、加工者が所有権を取得します。なお、付合・混和・加工に関する民法の規定と異なる定めを、当事者の合意ですることもできます。

所有権が変わると担保物権などはどうなる?償金は請求できる?

元の物にあった担保物権などの権利

付合・混和・加工の規定によって元の物の所有権が消滅すると、その物に存在していた他の権利も消滅します。先取特権や質権などの担保物権も同様です。

ただし、所有権が消滅した動産の所有者が合成物・加工物の単独所有者になった場合、元の物にあった権利は合成物・加工物全体について存在します。共有者になった場合は、合成物・加工物におけるその者の持分について存在します。

所有権を失った場合の償金請求

付合・混和・加工により所有権が消滅し、損失を受けた者は、不当利得の規定に従い、利益を受けた者に対して償金を請求できます。たとえば、他人の材料が加工物の所有者に取り込まれた場合、材料の所有者が損失を受けた者、加工物の所有者が利益を受けた者となります。

このように、所有権が誰に移るかと、元の所有者が償金を請求できるかは別の問題です。