相続財産に含まれる共有物は、原則として共有物分割請求できない
共有物分割とは、複数人が共同で所有する物について、共有状態を解消する手続きです。一方、遺産分割は、相続財産を対象として、誰がどの財産を取得するかを決める手続きです。
そのため、共有物の全部またはその持分が相続財産に含まれ、共同相続人の間で遺産分割を行うべき場合は、原則として共有物分割ではなく遺産分割によって分けます。共有物だけでなく、遺産全体を対象として分割方法を決める必要があるためです。
共有物分割請求が問題になるケース
例えば、亡くなった人が第三者と土地を共有しており、その人の持分を子ども2人が相続したとします。この場合、相続した持分について子ども同士で分けるべき段階では、まず遺産分割を行います。土地全体が共有になっている場合でも、相続人間の問題を共有物分割だけで処理することは、原則としてできません。
相続財産に含まれない共有物は、通常の共有物分割請求ができる
共有物の全部またはその持分が相続財産に属さず、遺産分割の対象にならない場合は、通常の共有物分割のルールが問題になります。
通常の共有物では、各共有者はいつでも分割を請求できます。ただし、共有者間で「5年を超えない期間は分割しない」と契約している場合、その期間中は請求できません。協議がまとまらない、または協議自体ができないときは、裁判所に共有物分割を請求します。
共有物分割で認められる分割方法
- 現物分割:共有物を実際に分ける方法
- 賠償分割:一部の共有者が物を取得し、他の共有者に代償金を支払う方法
- 競売による代金分割:共有物を競売し、その売却代金を分ける方法
裁判所は、分割方法だけでなく、金銭の支払い、物の引渡し、登記義務の履行などを命じることもあります。
相続開始から10年が経過すると、共有物分割請求できる場合がある
10年経過後の共有物分割請求
相続財産に含まれる共有持分で、共同相続人間の遺産分割が必要な場合でも、相続開始から10年を経過すると、裁判による共有物分割を請求できます。ただし、相続人から異議の申出があった場合は、共有物分割を請求できません。
遺産分割の請求後に相続人が異議を申し出た場合
その共有持分について遺産分割の請求があった場合に、相続人が共有物分割に異議を申し出ると、共有物分割はできません。異議の申出は、裁判所から請求があった旨の通知を受けた日から2か月以内に、その裁判所に行う必要があります。
相続財産に含まれる共有物を分けるときの整理
- 共有物または共有持分が相続財産に含まれるか確認する
- 相続財産に含まれ、遺産分割が必要なら、原則として遺産分割を行う
- 相続開始から10年未満なら、原則として裁判による共有物分割はできない
- 10年経過後は共有物分割を請求できるが、相続人の異議に注意する
共有物分割と遺産分割では、対象となる財産や考慮される事情が異なります。相続財産に含まれる共有物を分ける際は、相続開始からの期間と、遺産分割の請求・異議の有無を確認することが重要です。
まとめ
- 相続財産に含まれる共有物は、原則として遺産分割で分ける
- 共有物分割は、共有状態を解消するための手続きである
- 相続開始から10年を経過すると、共有物分割を請求できる場合がある
- 遺産分割の請求後、相続人が2か月以内に異議を申し出ると共有物分割はできない
