詐害行為取消権とは、債務者が債権者を害することを知りながら一般財産を減少させる行為をした場合に、債権者がその行為を取り消して、一般財産を保全・回復する制度です。
詐害行為取消権の取消しの範囲は、原則として被保全債権額まで
債権者は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができます(民法424条の8第1項)。
例えば、債権者が500万円の貸金債権を有し、債務者が1,000万円の贈与をした場合、債権者は500万円の限度でその贈与の取消しを請求することができます。
このように、詐害行為の目的が可分である場合、詐害行為の取消しの範囲は、原則として被保全債権額が限度となります。
不可分な目的物は、被保全債権額を超えて全部取り消せる場合がある
目的物が不可分である場合には、被保全債権の額を超えて、行為の全部の取消しができる場合があります。
例えば、債務者が唯一の不動産を贈与した場合のように、目的物を被保全債権額に応じた一部だけ取り消すことが難しいケースでは、不動産全体の取消しを請求できることがあります。
ただし、詐害行為取消権を行使しただけで、取消債権者が当然に優先弁済権を取得するわけではありません。
価額償還を請求する場合も、原則として被保全債権額が限度
債権者は、受益者又は転得者に対して財産の返還を請求できます。受益者又は転得者がその財産を返還することが困難であるときは、その価額の償還を請求することができます(民法424条の6第1項、第2項)。
価額償還請求をする場合も、請求の目的が可分であるため、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができます(民法424条の8第2項)。
したがって、不可分な目的物について現物の全部取消しが認められる場合であっても、価額償還の請求額が無制限に認められるわけではありません。
