質権とは?意味・目的物・効力をわかりやすく解説

質権とは、債権の担保として債務者または第三者(物上保証人)から受け取った目的物を占有し、債務不履行があった場合に、その目的物から優先弁済を受けられる担保物権です(民法342条)。

質権者は、債権の全額の弁済を受けるまで、質物を留置することができます。また、目的物の価値から優先的に弁済を受けられます。

質権の目的物と設定方法

譲渡できる財産であれば、原則として質権の目的物にできます(民法343条)。主な目的物は次のとおりです。

  • 動産
  • 不動産
  • 債権

債権質では、すでに発生している債権だけでなく、将来発生する債権も対象にできます(民法364条)。手形や小切手など、債権譲渡に証書の交付を要する有価証券については、証書の交付などが必要です。

動産質と不動産質は、当事者の合意に加えて、設定者が目的物を質権者へ引き渡すことで効力が生じます(民法344条)。設定者が引き続き占有するだけの占有改定は、この引渡しには含まれません(民法345条)。一方、債権質は、手形や小切手などを除き、原則として質権者と設定者の合意によって設定できます。

第三者に質権を主張するための要件

当事者間で質権が成立していても、第三者に対して主張するには、目的物に応じた対抗要件が必要です。

種類 第三者への対抗要件
動産質 質権者が目的物を継続して占有すること(占有改定を除く)
不動産質 質権設定の登記
債権質 設定者から第三債務者への通知、または第三債務者の承諾

動産質では、質権者が目的物を設定者に戻すと、原則として第三者への対抗力を失います。質物を奪われた場合には、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができます。

質権の効力と実行方法

質権は、元本だけでなく、原則として利息、違約金、質権の実行費用、質物の保存費用、債務不履行や質物の隠れた瑕疵による損害も担保します(民法346条)。質権者は、これらを含む債権の全額が支払われるまで、質物を留置できます(民法347条)。

また、質権には、担保する債権とともに移転する随伴性、債権がなくなると消滅する付従性、一部の返済があっても原則として目的物全体に及ぶ不可分性、目的物の価値が変わった場合にその代替物にも効力が及ぶ物上代位性などがあります。

不動産質権では、質権者が不動産を用法に従って使用・収益できます。その一方で、管理費用などの負担を負い、被担保債権の利息を請求できません。存続期間は10年を超えられず、更新後も更新時から10年が上限です(民法356条~358条、360条)。

債務が返済されない場合、動産質・不動産質は原則として競売によって換価し、代金から弁済を受けます。動産質では、裁判所が選任した鑑定人の評価に従い、評価額と債権額の差額を設定者に支払って質物の所有権を取得する簡易な弁済充当が認められます。債権質では、質権者が第三債務者から直接取り立てることもできます。

なお、あらかじめ、返済がないときに質権者が質物の所有権を取得するなど、法律に定める方法によらず質物を処分する契約をすることはできません(流質契約の禁止。民法349条)。ただし、弁済期が過ぎた後に、代物弁済として質物の所有権を移転することまで禁止されるわけではありません。