不完全履行とは?損害賠償請求の要件と具体例を解説

不完全履行とは、一応債務の履行として給付はなされたものの、債務の本旨に反して不完全であることをいいます。たとえば、新車を購入した際に塗装にキズがある場合などが挙げられます。

不完全履行は、履行が可能であるにもかかわらず履行期になっても履行しない履行遅滞や、債務の履行が不可能である履行不能とは異なり、給付はされたものの内容が不完全である点に特徴があります。

不完全履行を理由に損害賠償請求するための3つの要件

1.不完全な給付があること

不完全な給付には、給付の内容が契約の内容に適合しない場合、履行の方法が不完全であった場合、必要な注意をしなかったため給付が不完全になった場合が含まれます。

2.債務者の責めに帰すべき事由があること

不完全な履行について、債務者に責めに帰すべき事由(帰責事由)があることが必要です。債務者本人だけでなく、履行補助者である従業員などの帰責性も判断の要素となります。

3.不完全履行が違法であること

不完全履行による損害賠償請求には、不完全履行が違法であることも必要です。上記の帰責事由と違法性については、履行遅滞の場合と同様に考えることができます。

不完全履行による損害賠償の範囲

損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定めます。

通常損害は、債務不履行によって通常生ずべき損害です。債権者は、通常損害については、当然に請求することができます。

一方、特別の事情によって生じた特別損害を請求するには、債務者がその特別の事情を予見すべきであったことが必要です。予見の対象は損害そのものではなく、損害を生じさせた特別の事情です。

また、債務不履行またはこれによる損害の発生・拡大について債権者にも過失があったときは、裁判所はこれを考慮して、損害賠償の責任や額を定めます。債務不履行の場合には、債務者の責任が免除されることもあります。

不完全履行の具体例

  • 新車を購入した際、塗装にキズがある場合
  • 請負人が家屋の修理をする際、不注意で家具を傷つけた場合
  • 給付の内容が契約の内容に適合していない場合

これらは給付や作業自体は行われているものの、契約の内容に適合していないことや、必要な注意をしなかったことなどにより、不完全履行となる場合があります。ただし、損害賠償を請求するには、「不完全な給付があること」「債務者の責めに帰すべき事由があること」「不完全履行が違法であること」の3つの要件を満たす必要があります。