債権譲渡後の相殺は認められる?債務者が譲受人に対抗できる要件を解説

債権譲渡後に譲受人から支払いを請求されても、債務者が譲渡人に対する反対債権を持っていれば、相殺を主張できる場合があります。ただし、判断のポイントは、債権譲渡の対抗要件が備わった時点と、反対債権を取得した時期・発生原因です。

債権譲渡後の相殺は認められる?まず結論

一定の要件を満たせば、譲受人に相殺を対抗できる

債務者は、債権譲渡があった場合に、一定の反対債権を有するときは、相殺をもって譲受人に対抗できます(469条)。ただし、債権譲渡後に取得した反対債権が、常に相殺に使えるわけではありません。

判断の基準は「対抗要件具備時」

対抗要件具備時とは、譲渡人から債務者へ債権譲渡の通知がされた時、または債務者が譲渡を承諾した時です(468条1項)。債権譲渡の契約日ではなく、この時点を基準に反対債権の取得時期や発生原因を確認します。

債務者が相殺を譲受人に対抗できる3つのケース

対抗要件具備時より前に、譲渡人に対する債権を取得していた場合

対抗要件具備時より前に、債務者が譲渡人に対する反対債権を取得していれば、その債権による相殺を譲受人に対抗できます(469条1項)。

対抗要件具備時より前の原因に基づいて、反対債権が発生した場合

反対債権が対抗要件具備時より後に発生した場合でも、その発生原因が対抗要件具備時より前にあれば、相殺を譲受人に対抗できます(469条2項1号)。

譲渡された債権の発生原因となる契約に基づく債権の場合

譲受人が取得した債権の発生原因である契約に基づいて、債務者が譲渡人に対する債権を取得した場合も、相殺を譲受人に対抗できます(469条2項2号)。

相殺を対抗できない場合と注意点

対抗要件具備時より後に、他人から取得した債権は使えない

上記2つの場合でも、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得した場合、その債権による相殺を譲受人に対抗することはできません(469条2項ただし書)。

債権譲渡の対抗要件が備わる前後を確認する

当事者 関係
譲渡人 債権を譲り渡す人
譲受人 債権を取得する人
債務者 譲渡された債権について債務を負う人

債権譲渡は譲渡人と譲受人の合意で行うことができますが、譲受人が債権譲渡を債務者に対抗するには、譲渡人からの通知または債務者の承諾が必要です(467条1項)。通知または承諾の時点と、反対債権の取得時期・発生原因を比較して判断します。