請負工事の作業中に、請負人やその従業員が通行人などの第三者に損害を与えた場合、工事を依頼した注文者も損害賠償責任を負うのでしょうか。
結論として、注文者は原則として責任を負いません。ただし、注文者の注文または請負人への指図に過失があった場合は、注文者も責任を負います。これは、民法716条に定められたルールです。
注文者責任とは
注文者責任とは、請負契約において、請負人がその仕事について第三者に損害を与えた場合に、注文者が負うことのある不法行為上の責任です。
請負人の作業中に事故が起きたとしても、注文者であるという理由だけで、当然に賠償責任が生じるわけではありません。
使用者責任との違い
請負人の従業員が業務中に第三者へ損害を与えた場合、実際に行為をした従業員や、その従業員を使用する請負会社の責任が問題になります。請負会社は、一定の要件を満たすと、民法715条の使用者責任を負います。
一方、請負会社に仕事を依頼した注文者は、請負人の使用者ではありません。そのため、請負人の不法行為について、注文者が当然に使用者責任を負うわけではありません。
注文者が責任を負う原則と例外
原則:注文者は責任を負わない
民法716条は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害について、注文者は原則として賠償責任を負わないと定めています。したがって、請負人の従業員が作業中に過失で事故を起こした場合でも、注文者であることだけでは責任を負いません。
例外:注文または指図に過失がある場合
ただし、注文者の注文または請負人への指図に過失があった場合は、注文者も損害賠償責任を負います。
注文者責任が問題になるケース
例えば、住宅の建設工事を請負会社に依頼し、工事中に請負会社の従業員が誤って資材を落下させ、通行人を負傷させたとします。
この場合、注文者に注文または指図の過失がなければ、注文者は原則として責任を負いません。通行人に損害賠償責任を負うのは、加害者である従業員と、使用者責任を負う請負会社です。
一方、注文者の注文または請負人への指図に過失があった場合は、注文者も損害賠償責任を負います。
まとめ
注文者責任とは、請負人が仕事について第三者に与えた損害について、注文者が負うことのある責任です。民法716条では、注文者は原則として責任を負いません。
ただし、注文者の注文または請負人への指図に過失があった場合は例外です。請負人の作業中に事故が起きたという事実だけで、注文者が当然に損害賠償責任を負うわけではありません。
