行政指導とは?処分との違いと違法になるケースを解説

行政機関から「改善してください」「申請を取り下げてください」などと求められたとき、従う義務があるのか疑問に感じることがあります。こうした要請は、行政指導にあたる可能性があります。

行政指導は、処分とは異なり、原則として相手方を法的に拘束しません。ただし、行政機関の任務または所掌事務の範囲を超えて行われた場合などは、違法となる可能性があります。

行政指導とは

行政手続法上の定義

行政手続法2条6号では、行政指導を、行政機関がその任務または所掌事務の範囲内で、一定の行政目的を実現するため、特定の者に一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって、処分に該当しないものと定めています。

「作為」とは何かをすること、「不作為」とは何かをしないことです。指導、勧告、助言などが行政指導に含まれます。

行政指導の主な特徴

  • 行政機関が特定の者に対応を求める
  • 一定の行為をすること、またはしないことを求める
  • 処分ではなく、法的な拘束力がない

行政指導だけを根拠として、相手方に直ちに指導内容どおりの法的義務が生じるわけではありません。

なお、国民一般に向けた勧告は、行政手続法上の行政指導にいう「特定の者」への働きかけには該当しません。

行政指導と処分の違い

法的な拘束力の違い

処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為です。行政指導とは異なり、法令に基づいて行われる公権力の行使に当たる行為です。

これに対し、行政指導は権力的な行為ではありません。そのため、行政指導に従わなかったことだけを理由に、直ちに指導内容どおりの法的義務を負うわけではありません。

比較項目 行政指導 処分
性質 指導・勧告・助言など 公権力の行使に当たる行為
法的拘束力 ない 権利を制限したり、義務を課したりすることがある
相手方への効果 一定の作為または不作為を求める 法的な効果が生じる

行政指導が違法になるケース

行政機関の任務・所掌事務の範囲を超えている場合

行政指導は、行政機関の任務または所掌事務の範囲内で行わなければなりません。これらの範囲を超えた行政指導は、違法となる可能性があります。

組織法上の根拠がない場合

行政指導は、行政機関がその任務または所掌事務の範囲内で行うものです。そのため、当該機関を設置する法律などの組織法上の根拠なく行政指導を行った場合には、違法な行政指導となります。

「行政指導に該当しないこと」と「違法であること」は別

行政手続法上の行政指導に該当しない行為が、すべて直ちに違法になるわけではありません。国民一般への勧告のように、定義上「特定の者」への行政指導ではないものもあります。

一方、行政機関の任務または所掌事務の範囲を超えた場合や、組織法上の根拠なく行われた場合は、違法な行政指導となります。