国家賠償請求に行政訴訟の判決は必要?取消訴訟との関係を解説

結論からいうと、国家賠償請求をするために、先に取消訴訟や無効確認訴訟を起こして判決を得る必要はありません。行政争訟と国家補償は、いずれも行政救済の方法ですが、別の制度です。

国家賠償請求に行政訴訟の判決は必要ない

取消判決や無効確認判決は不要

行政の活動が違法だったとしても、国家賠償請求に先立って行政訴訟を提起しなければならないわけではありません。取消訴訟や無効確認訴訟の判決を得ておくことも、国家賠償請求の前提条件ではありません。

この点について、判例も、国家賠償請求をするために、あらかじめ行政訴訟を提起して、その取消しまたは無効確認の判決を得る必要はないとしています(最判昭36・4・21、最判平22・6・3)。

行政争訟と国家補償の関係

行政救済法は、行政争訟と国家補償に分類できます。行政争訟とは、行政機関による不当・違法な活動の是正を求める手段で、行政訴訟や行政上の不服申立てが含まれます。

一方、国家補償とは、行政の活動によって生じた損害や損失の補償を求める手段です。国家補償には、行政の違法な活動によって生じた損害を賠償する国家賠償が含まれます。

このように、行政争訟と国家補償は別の制度であるため、国家賠償請求をするために、あらかじめ行政訴訟の判決を得なければならないという関係にはありません。

取消訴訟と国家賠償請求の違い

取消訴訟は行政活動の是正を求める

行政訴訟は、違法な行政活動について、裁判所の判決により是正してもらうための手続です。取消訴訟では、行政処分の取消しを求めます。

国家賠償請求は損害の賠償を求める

国家賠償請求は、行政機関の違法な活動によって生じた損害の賠償を求める制度です。行政処分の取消しではなく、行政の活動によって生じた損害の回復を求めます。

手続 求めるもの 主な内容
取消訴訟 行政処分の取消し 違法な行政活動の是正
国家賠償請求 損害の賠償 行政活動によって生じた損害の補償

取消訴訟を先に起こさず国家賠償請求をする場合

行政活動の是正と損害の賠償は区別する

求める救済が行政活動の是正なのか、それとも行政の活動によって生じた損害の賠償なのかを区別する必要があります。損害の賠償を求める場合、先に取消訴訟や無効確認訴訟を提起して、その判決を得ていなくても、国家賠償請求をすることができます。

まとめ:国家賠償請求に取消判決は必要か

  • 国家賠償請求の前に、行政訴訟を起こす必要はありません。
  • 取消訴訟や無効確認訴訟の判決も、国家賠償請求の前提条件ではありません。
  • 取消訴訟は行政活動の是正、国家賠償請求は損害の賠償を求める手続です。
  • 行政訴訟の判決がなくても、国家賠償請求をすることができます。