裁決の取消しの訴えとは?原処分主義と裁決主義を解説

裁決の取消しの訴えとは、審査請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の取消しを求める訴訟です。行政事件訴訟法3条3項に定められた抗告訴訟の一つにあたります。

この訴訟で重要なのが、原則である原処分主義です。原処分の違法性と、裁決そのものの違法性は、それぞれ別の訴えで争います。ただし、法律に特別の定めがある場合は裁決主義となり、裁決だけを対象に争います。

裁決の取消しの訴えとは

裁決の取消しを求める訴訟

「原処分」とは、審査請求の対象となったもともとの処分をいいます。一方、「裁決」とは、その原処分に対する審査請求などの不服申立てに対して、行政庁が示した判断です。

原則は「原処分主義」

原処分の違法性は原処分の取消しの訴えで争う

行政事件訴訟法10条2項は、裁決の取消しの訴えにおいて、原処分の違法性を理由として裁決の取消しを求めることはできないと定めています。これが原処分主義です。

したがって、原処分に違法性があると主張する場合は、原則として原処分の取消しの訴えを提起します。原処分の違法性を、裁決の取消しの訴えで争うことはできません。

一方、裁決の取消しの訴えでは、裁決をした行政庁に権限があったか、裁決の手続に違法がなかったか、裁決の形式に問題がないかなど、裁決そのものに固有の違法性を争います。

例外が「裁決主義」

個別の法律に特別の定めがある場合、原処分については取消しの訴えを提起できず、裁決だけを対象として訴えることがあります。この仕組みが裁決主義です。

裁決主義が適用されるときは、原処分の違法性も裁決の取消しの訴えの中で主張します。裁決主義は、特別法によって定められた場合に限られる例外です。

区分 取消しを求める対象 原処分の違法性
原処分主義 原処分と裁決を別々の訴えで争う 原処分の取消しの訴えで主張する
裁決主義 裁決のみ 裁決の取消しの訴えで主張する

まとめ

裁決の取消しの訴えは、審査請求その他の不服申立てに対する裁決の取消しを求める訴訟です。原則は原処分主義であり、原処分の違法性は原処分の取消しの訴えで争い、裁決の権限・手続・形式などの問題は裁決の取消しの訴えで争います。もっとも、特別法に定めがある場合は裁決主義となり、原処分の違法性も裁決の取消しの訴えで主張します。