現在の法律関係に関する訴えとは?実質的当事者訴訟と争点訴訟を解説

行政処分の無効を主張したい場合でも、常に処分そのものの無効確認を求めるとは限りません。処分の効力を前提に、当事者の地位や権利関係など、現在存在する法律関係の確認を求める方法があります。

このような訴えは、行政事件訴訟法上、争われている法律関係が公法上のものか、私法上のものかによって分類されます。

現在の法律関係に関する訴えとは

行政処分などの効力を前提または争点として、現在の法律関係を争う訴え

「現在の法律関係に関する訴え」は、1つの独立した訴訟類型の名称ではありません。次の2つをまとめた呼び方です。

  • 実質的当事者訴訟
  • 争点訴訟

これらは、行政処分や裁決の存否または効力の有無を前提とし、またはその点を争点として、当事者間の現在の法律関係について判断を求める訴えです。

行政処分そのものの存否や効力の確認を求める「無効等確認の訴え」とは、請求の対象が異なります。

公法上の関係か、私法上の関係かで分類される

  • 公法上の法律関係を争う場合:実質的当事者訴訟
  • 私法上の法律関係を争う場合:争点訴訟

したがって、どちらの訴えになるかは、行政処分が関係しているかだけでなく、確認を求める法律関係の性質によって決まります。

実質的当事者訴訟とは

公法上の法律関係に関する訴え

実質的当事者訴訟は、行政事件訴訟法4条に定められた訴訟類型です。公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいいます。

たとえば、国家公務員が免職処分を受けたものの、その処分が無効だと考えている場合、処分そのものの無効確認ではなく、処分が無効であることを前提として、現在も公務員としての地位があることの確認を求める訴えが考えられます。

このように、行政処分の効力を前提に、公法上の地位や関係の確認を求めるものが実質的当事者訴訟です。

争点訴訟とは

私法上の法律関係に関する民事訴訟

争点訴訟は、私法上の法律関係をめぐる民事訴訟の中で、行政処分や裁決の存否または効力の有無が争われている場合をいいます。行政事件訴訟法45条に関係する訴訟類型です。

たとえば、国民が所有地について収用裁決を受けた場合に、収用裁決の無効を前提として、起業者などを相手方に所有地の所有権確認を求める訴えが考えられます。

この場合、主な請求は行政処分の無効確認ではなく、所有権という私法上の法律関係の確認です。そのため、訴訟の形式は民事訴訟となり、収用裁決の効力がその中で争点になります。

実質的当事者訴訟と争点訴訟の違い

比較項目 実質的当事者訴訟 争点訴訟
対象となる法律関係 公法上の法律関係 私法上の法律関係
訴訟の性質 公法上の法律関係に関する訴訟 民事訴訟
行政処分の効力 地位や関係を判断する前提となる 私法上の権利関係を判断する際の争点となる

つまり、「現在の法律関係に関する訴え」とは、行政処分や裁決の存否または効力の有無に関係する現在の法律関係を争う訴えです。公法上の関係なら実質的当事者訴訟、私法上の関係なら争点訴訟に分類されます。

無効等確認の訴えとの関係

行政処分が無効であると考えられる場合、まずは現在の法律関係に関する訴えである実質的当事者訴訟または争点訴訟を提起します。

現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない場合には、無効等確認の訴えを補充的に提起することになります。