無罪判決が確定しただけで、逮捕・勾留・起訴が当然に違法となるわけではありません。
逮捕・勾留・起訴の適法性は、それぞれの時点で捜査機関や検察官が把握していた証拠や状況をもとに判断されます。
無罪判決が確定しただけでは国家賠償請求できない
国家賠償請求が認められる条件
国家賠償法1条1項に基づく請求では、主に次の要件が必要です。
- 国または公共団体の公務員による公権力の行使であること
- 職務を行う中でされた行為であること
- 公務員に故意または過失があること
- 行為が違法であること
- その違法行為によって損害が生じたこと
請求の相手は、原則として捜査官や検察官個人ではなく、国または公共団体です。
無罪と国家賠償で基準が異なる理由
逮捕や勾留、起訴が違法だったかは、手続が行われた当時の資料を前提に判断されます。そのため、後に無罪が確定しても、当時の判断が適法だった可能性があります。
請求が問題となる場合
無罪という結果だけでなく、当時の証拠関係や捜査の進め方から、通常尽くすべき注意を怠ったなどの事情がある場合には、国家賠償請求の可否が問題となります。
逮捕・勾留・起訴は、それぞれの時点で違法性が判断される
逮捕・勾留の違法性
逮捕・勾留については、その時点で犯罪の嫌疑に相当な理由があったか、身柄を拘束する必要性があったかが検討されます。したがって、無罪判決が確定したという理由だけで、逮捕・勾留が違法になるわけではありません。
起訴の違法性
検察官の起訴時の判断は、裁判官が判決時に行う判断とは異なります。起訴時に実際に集められていた証拠に加え、通常の捜査をすれば得られた資料も踏まえ、合理的に見て有罪と認められる嫌疑があれば、起訴は違法とはされません。
起訴後の勾留
起訴後の勾留も、無罪になったことだけで当然に違法となるものではありません。勾留の必要性などを含め、当時の事情に照らして個別に判断されます。
国家賠償請求を検討する際の考え方
どの行為が問題なのかを分けて考える
逮捕・勾留・起訴を一括りにせず、逮捕時の嫌疑や必要性、勾留時の判断、起訴時の証拠と判断過程、起訴後の勾留について、それぞれ違法性がなかったかを確認します。
このように、無罪判決の確定は国家賠償請求を検討する事情の一つですが、それだけで請求が認められるわけではありません。
