営業譲渡では、事業を譲り受けた人や会社が、譲渡人の商号をそのまま使うことがあります。この場合、譲受人は、譲渡人の営業によって生じた債務についても弁済する責任を負うのが原則です。
ただし、一定の登記や通知を行えば、商号を続用していても譲受人が責任を負わない場合があります。この記事では、商法17条のルールを初心者向けに説明します。
営業譲渡で商号を続用すると、譲受人も債務を負うのが原則
営業譲渡と商号の続用とは
営業譲渡とは、商人や会社が、自らの事業を他人や他社に譲り渡すことです。
商号とは、商人や会社が営業上、自分を表示するために使用する名称です。営業を譲り受けた会社が、譲渡会社の商号を引き続き使用することを商号の続用といいます。
商法17条の原則
商法17条1項は、営業の譲受人が譲渡人の商号を続けて使う場合、譲渡人の営業によって生じた債務について、譲受人も弁済する責任を負うと定めています。
ここで注意したいのは、譲渡人の債務が当然に譲受人へ移転するという意味ではないことです。商号を続用した場合、譲渡人と譲受人が、ともに弁済責任を負う関係になります。
譲受人が債務を負わない例外
商号を続用していても、次のいずれかを行えば、商法17条2項により、譲受人は譲渡人の営業によって生じた債務の弁済責任を負いません。
責任を負わない旨を登記した場合
営業譲渡後、譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を、遅滞なく登記した場合です。商号を引き続き使っていても、この登記によって例外が認められます。
譲渡人と譲受人の双方が通知した場合
登記のほか、譲受人が責任を負わない旨を、譲渡人と譲受人の双方から第三者に通知する方法もあります。この場合も、営業譲渡後、遅滞なく通知する必要があります。
譲受人だけ、または譲渡人だけが通知しても、商法17条2項の例外には当たりません。誰が通知するのか、また通知の時期にも注意が必要です。
まとめ:商号続用時は原則として譲受人も責任を負う
営業譲渡で譲渡人の商号を続用すると、譲受人も譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負うのが原則です。
ただし、譲渡後に責任を負わない旨を遅滞なく登記するか、譲渡人と譲受人の双方から第三者へ通知すれば、譲受人が責任を負わない例外が認められます。営業譲渡では、商号を使い続けるかだけでなく、債務に関する登記や通知の有無も確認しましょう。
