剰余金の配当とは、株式会社が株主に対して、金銭や金銭以外の財産を交付することです。ただし、会社が自由に配当額を決められるわけではありません。配当には分配可能額などの上限があり、それを超えると違法配当となります。
剰余金の配当とは
株主に金銭や財産を交付すること
剰余金の配当は、株主が会社から経済的利益を受ける権利の一つです。利益の配当だけでなく、中間配当、資本金や準備金の減少に伴う払戻し、自己株式の有償取得なども、会社法上は剰余金の配当として整理されます。
配当の決定方法と配当財産
原則として、定時株主総会に限らず、臨時株主総会を含む株主総会の普通決議によって配当を決定できます(会社法453条、454条)。配当財産は金銭に限られず、金銭以外の財産を渡す現物配当も可能です。
ただし、現物配当の対象に株式会社自身の株式、新株予約権、社債を含めることはできません。また、株式会社が自己株式について配当を受けることもできません。
株式の内容などによって配当の扱いが異なる場合
原則として、株主は保有する株式の内容と数に応じて平等に扱われます。一方、種類株式について、配当を優先的に受けられる株式や、普通株式より配当が劣後する株式を定めることは可能です。
さらに、公開会社でない株式会社では、定款によって株主ごとに配当の扱いを変えることもできます。ただし、株主に剰余金の配当を受ける権利を一切与えない定款の定めは無効です。
剰余金の配当には分配可能額の上限がある
分配可能額とは
分配可能額とは、配当の効力発生日において、会社が株主に交付できる金銭などの上限額です。剰余金の額を基礎に、自己株式の帳簿価額など一定の額を差し引いて算定します。
したがって、帳簿上は剰余金があっても、交付する財産の帳簿価額の総額が分配可能額を超える配当は認められません(会社法461条)。
純資産額が300万円未満の場合
純資産額とは、資産の額から負債の額を差し引いた金額です。株式会社の純資産額が300万円未満の場合は、剰余金が存在していても配当できません(会社法458条)。
分配可能額を超える違法配当のルール
違法配当とは
違法配当(蛸配当)とは、分配可能額を超えて行う配当など、財源規制に反する配当をいいます。株主総会で配当決議をしていても、分配可能額や純資産額の規制に違反すれば、適法な配当にはなりません。
株主への返還請求
違法配当が行われた場合、株式会社は、配当を受けたすべての株主に対して、受け取った金銭や財産の返還を請求できます。株主が違法配当であることを知っていたかどうかは問われません(会社法462条1項)。
取締役などの支払い義務
違法配当に関する職務を行った取締役または執行役、配当議案を株主総会に提案した取締役などは、連帯して、交付した金銭や財産の帳簿価額に相当する金銭を株式会社に支払う義務を負います。
まとめ
剰余金の配当とは、株式会社が株主に金銭や財産を交付することです。原則として株主総会の普通決議で決定でき、現物配当も認められます。
ただし、交付する金銭などの帳簿価額の総額は、効力発生日の分配可能額を超えてはならず、純資産額が300万円未満の会社も配当できません。規制に反する違法配当を行うと、株主への返還請求だけでなく、配当に関与した取締役や執行役などの支払い義務も生じます。
