公安条例とは?集団行進・デモの規制と合憲性を判例で解説

公安条例とは、地方公共団体が集団行進や集団示威運動(デモ行進)などを規制するために定める条例です。集団行進や集団示威運動は、憲法21条1項が保障する集会の自由または表現の自由に含まれ、いずれの見解によっても保障されます。そのため、公安条例による規制が憲法に違反しないかが問題となります。

公安条例とは?集団行進・デモを規制する理由

集会の自由とは、共通の目的をもつ多数人が、一定の場所に一時的に集まる自由をいいます。集団行進や集団示威運動も、憲法21条1項で保障されます。

一方、集団行動は、通常の言論や出版とは異なり、多数人が一体となって行動します。そのため、状況によっては集団が暴徒化し、法と秩序を維持できなくなる危険があります。そこで、地方公共団体は、地域の状況などを考慮し、不測の事態に備えて必要かつ最小限度の事前規制を設けています。

公安条例の許可制はなぜ合憲なのか

公安条例には、集団行進などを公安委員会の許可にかからせる仕組みが置かれることがあります。しかし、許可するかどうかを行政機関が自由に決められる制度であれば、集会・表現の自由を過度に制限してしまいます。

最高裁判所は、次のような仕組みであれば、形式上は許可制でも、実質的には届出制と異ならないと判断しています。

  • 原則として、公安委員会に許可が義務付けられている
  • 「公共の安寧を保持する上で直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」以外は許可しなければならない
  • 不許可にできる場合が厳格に限られている

つまり、公安条例による規制は、集団行動による危険を防ぐための必要かつ最小限度のものであることが必要です。

公安条例の合憲性を示した判例

東京都公安条例事件(最高裁大法廷・昭和35年7月20日)

この事件では、東京都公安委員会の許可を受けずに集団行進を指導したことや、公安委員会が付けた蛇行進禁止などの条件に違反したことが問題となりました。

最高裁判所は、集団行動による表現には、場合によっては集団が一挙に暴徒化する危険があると指摘しました。そのうえで、地方公共団体が地域の実情などを踏まえ、不測の事態に備えて必要かつ最小限度の事前規制をすることは許されると判断しました。

また、許可が原則として義務付けられ、不許可となる場合も厳しく限定されていることから、この許可制は実質的に届出制と変わらないとして、憲法21条に違反しないとしました。

このほか、新潟県公安条例事件(最高裁大法廷・昭和29年11月24日)や徳島市公安条例事件(最高裁大法廷・昭和50年9月10日)でも、最高裁判所は公安条例を合憲と判断しています。

まとめ

  • 公安条例は、集団行進やデモなどを規制する地方公共団体の条例です。
  • 集団行進やデモは憲法21条1項で保障されます。
  • ただし、集団行動に特有の危険に備える必要かつ最小限度の規制は認められます。
  • 許可制でも、不許可の要件が厳格で、原則として許可が義務付けられていれば、実質的に届出制と異ならず、合憲となり得ます。