被保佐人は、すべての法律行為について保佐人の同意が必要になるわけではありません。原則として単独で法律行為ができますが、一定の重要な行為には、保佐人の同意が必要です。ここでは、被保佐人の同意が必要な行為と、同意なしで行った場合のルールを説明します。
被保佐人は原則として単独で法律行為ができる
被保佐人とは
被保佐人とは、精神上の障害によって、事理を弁識する能力が著しく不十分な人で、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた人をいいます。能力が著しく不十分であっても、保佐開始の審判を受けていなければ、法律上の被保佐人には当たりません。保佐開始の審判がされると、保佐人が付けられます。
同意が必要なのは一定の重要な行為に限られる
被保佐人は、日用品の購入その他日常生活に関する行為であれば、保佐人の同意なしにできます。一方、民法13条1項に定められた一定の重要な行為には、保佐人の同意が必要です。
被保佐人が保佐人の同意を必要とする10種類の行為
- 元本を受け取り、または利用すること
元本とは、利息や賃料を生み出す貸金や不動産などです。利息や賃料を受け取るだけなら同意は不要ですが、貸金の返済を受けたり、不動産を賃貸したりする場合は同意が必要です。 - 借金をすること、または保証人になること
- 不動産その他の重要な財産を取引すること
土地・建物のほか、金銭債権、特許権、著作権、株式など重要な財産権の取引も含まれます。 - 訴訟行為
自ら訴えを起こす場合には同意が必要です。ただし、相手から訴えられて、その訴訟に応じることには同意は必要ありません。 - 贈与、和解、仲裁合意をすること
- 相続の承認・放棄、遺産分割をすること
- 一定の贈与・遺贈に関する行為
贈与の申込みを拒絶すること、遺贈を放棄すること、負担付贈与の申込みを承諾すること、負担付遺贈を承認することが対象です。負担のない贈与を受けるだけなら、同意は必要ありません。 - 新築・改築・増築・大修繕を目的とする請負契約
- 長期の賃貸借契約
民法602条の期間を超える賃貸借が対象です。原則として土地は5年、建物は3年を超える賃貸借には同意が必要です。この期間を超えない短期の賃貸借は対象外です。 - 1~9の行為を制限行為能力者の法定代理人として行うこと
被保佐人が制限行為能力者の法定代理人として行う場合も、1~9の行為には同意が必要です。
同意なしで行った場合の取消しと例外
保佐人の同意がない行為は取り消すことができる
同意が必要な行為を、保佐人の同意または家庭裁判所の同意に代わる許可なしに行った場合、被保佐人本人も保佐人も取り消すことができます。
家庭裁判所が同意を必要とする行為を追加することがある
家庭裁判所は、上記以外の行為についても、本人、配偶者、4親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人、検察官、保佐人または保佐監督人の請求により、保佐人の同意が必要だとする審判をすることがあります。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為は対象外です。実際に同意が必要かは、民法の規定だけでなく、家庭裁判所の審判内容も確認する必要があります。
保佐人が同意しない場合は家庭裁判所の許可を求められる
保佐人が、被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意しない場合、被保佐人は家庭裁判所に、保佐人の同意に代わる許可を求めることができます。許可を得れば、保佐人の同意がなくても、その行為をすることができます。
