権利能力なき社団とは?成立要件や財産・構成員の責任を解説

権利能力なき社団とは、法人格を有しないものの、団体としての組織を備えた団体です。町内会や同好クラブなどが例として挙げられます。

法人格を有しないため、法人のように団体自体が権利義務の主体となるわけではありません。ただし、判例上、一定の要件を満たす団体は「権利能力なき社団」として扱われます。

権利能力なき社団とは

法人格を持たないが、団体として活動する組織

権利能力なき社団は、代表者を通じて団体として活動します。一方で、法律上の法人格を取得していないため、団体自体が法人のように権利者や義務者となるわけではありません。

単なる人の集まりとの違い

構成員が複数いるだけでは、権利能力なき社団とはいえません。団体としての組織を備え、構成員個人とは区別された団体として存続していることが必要です。

権利能力なき社団の成立要件

判例は、主に次の4点を成立要件として示しています。

  1. 団体としての組織を備えていること
  2. 多数決の原則が行われていること
  3. 構成員が変わっても団体が存続すること
  4. 代表の方法、総会の運営、財産の管理など、団体としての主要な点が確定していること

団体名があることや複数人で活動していることだけで、権利能力なき社団と判断されるわけではありません。

権利能力なき社団の財産と構成員の責任

団体の財産は構成員全員の「総有」

団体の財産は、実質的に構成員全員の総有に属します。総有とは、共同所有の形態の一つであり、各構成員は使用収益権を有しますが、処分権は有しません。また、構成員に持分権は認められません。

そのため、構成員は当然には共有持分権を持たず、団体の財産について個人で分割を請求することもできません。

不動産は団体名義で登記できない

権利能力なき社団の資産である不動産については、社団そのものを権利者とする登記はできません。代表者が、社団の構成員全員の受託者という立場で、代表者個人の名義により登記することができるにすぎません。

「代表者である」という肩書きを付けた代表者個人名義の登記も認められません。

団体の債務について構成員個人は責任を負わない

代表者が社団名義でした取引上の債務は、構成員全員に総有的に帰属します。ただし、責任財産は団体の総有財産に限られ、構成員各自が個人的な債務や責任を負うことはありません。

そのため、債権者は構成員各自に対して、債務の履行を請求できません。

まとめ

  • 権利能力なき社団とは、法人格を有しないものの、組織を備えた団体です。
  • 成立には、組織性、多数決、団体の存続性、代表や総会運営、財産管理などの主要事項の確定が必要です。
  • 財産は構成員全員の総有に属し、個人の持分や分割請求権は認められません。
  • 不動産は団体名義で登記できず、代表者個人名義で登記することができるにすぎません。
  • 団体の取引上の債務について、構成員各自は個人的な債務や責任を負いません。