代理行為の瑕疵は誰を基準に判断する?詐欺・錯誤・強迫の扱いを解説

代理では、代理人が相手方に意思表示をし、その法律効果が本人に帰属します。では、詐欺・錯誤・強迫などによって意思表示の効力が問題になる場合、誰を基準に判断するのでしょうか。

代理行為の瑕疵は、原則として代理人を基準に判断する

代理行為の瑕疵とは

代理行為の瑕疵とは、意思表示の効力に影響する事情をいいます。具体的には、意思が存在しない場合、錯誤、詐欺、強迫のほか、ある事情を知っていたか、知らなかったことに過失があったかといった事情が含まれます。

代理人がした意思表示は代理人を基準にする

民法101条1項では、代理人が相手方にした意思表示について、瑕疵の有無や事情の認識を代理人を基準に判断します。実際に意思表示をしたのが代理人だからです。

たとえば、代理人が相手方から重要な事実を隠されて契約した場合、本人がその事実を知らなくても、代理人が詐欺を受けたかどうかを基準に判断します。代理人が詐欺の影響を受けていれば、本人は詐欺を理由に契約を取り消せます。

この取消しをするのは、原則として本人です。ただし、代理人に取消権を含む代理権が与えられていれば、代理人も取り消せます。

相手方が代理人にした意思表示も、代理人を基準にする

善意・悪意や過失の判断

相手方が代理人に対してした意思表示について、ある事情を知っていたか、知らなかったことに過失があったかは、民法101条2項により代理人を基準に判断します。

したがって、原則として、代理人が善意・無過失であれば、本人がその事情を知っていたとしても、代理人を基準とする場面では、その事情を知らなかったものとして扱われます。反対に、代理人が悪意または有過失であれば、その認識や過失が効力の判断に影響します。

101条2項は詐欺・強迫など全般を定めた規定ではない

101条2項が定めているのは、意思表示を受けた代理人の認識や過失を基準にすることです。101条1項のように、意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫そのものについて定めた規定ではありません。

代理人を基準としない例外

本人が知っていた事情については不知を主張できない

代理人が特定の法律行為をするよう委託されていた場合、本人は、自分が知っていた事情について、代理人が知らなかったことを主張できません。また、本人が過失によって知らなかった事情についても同様です。

つまり、原則は代理人を基準としますが、本人の悪意や有過失によって代理人の善意を主張できなくなる場合があります。

代理人が相手方を詐欺・強迫した場合

代理人が相手方に詐欺や強迫をした場合は、101条1項・2項の問題ではありません。この場合は、詐欺・強迫による取消しを定める民法96条が直接適用され、相手方は意思表示を取り消せます。

まとめ

  • 代理行為の瑕疵は、原則として代理人を基準に判断する
  • 代理人が詐欺・錯誤・強迫の影響を受けた場合、本人が取り消せる
  • 相手方が代理人にした意思表示の認識や過失も、代理人を基準にする
  • 本人が知っていた、または過失で知らなかった事情については例外がある
  • 代理人が相手方を詐欺・強迫した場合は、民法96条により相手方が取り消せる