契約の取消しとは?制限行為能力・錯誤・詐欺・強迫による取消しを解説

法律が定める取消原因のある契約は、法定された一定の人が取り消せます。契約が取り消されると、契約は成立した時点にさかのぼって無効となり、当事者は原状回復義務を負います。ここでは、契約の取消しの意味と、主な取消原因を解説します。

契約の取消しとは

取消しの意味

契約の取消しとは、法律上の取消原因がある契約について、認められた人がその効力を失わせることです。誰でも取り消せるわけではなく、取消権を持つ本人や一定の関係者に限られます。

取消しができる人

制限行為能力者が単独で行った契約は、制限行為能力者本人、その代理人・承継人、同意をすることができる者などが取り消せます。錯誤・詐欺・強迫による契約は、表意者、またはその代理人・承継人が取り消せます。

契約を取り消せる4つの主な原因

制限行為能力者が単独で契約した場合

制限行為能力者が、保護者の同意を得ず、または代理によらずに単独で契約した場合、法律上認められた人が取り消せます。

錯誤によって契約した場合

錯誤による契約は、表意者などが取り消せることがあります。

詐欺によって契約した場合

詐欺による契約は、表意者などが取り消せることがあります。

強迫によって契約した場合

強迫による契約は、表意者などが取り消せます。

契約を取り消した場合の効果と第三者への影響

当事者間では原状回復を行う

取消しにより契約は成立時にさかのぼって無効となるため、当事者は相互に原状回復義務を負います。売主は受け取った代金を返し、買主は受け取った商品や不動産を返還します。

取消し前に目的物が第三者へ譲渡された場合

取消原因によって、第三者に取消しを主張できる範囲が異なります。

取消原因 善意・無過失の第三者への対抗
制限行為能力 対抗できる
強迫 対抗できる
錯誤 対抗できない
詐欺 対抗できない

制限行為能力や強迫による取消しは、第三者の善意・悪意や過失の有無を問わず対抗できます。不動産で第三者が登記を備えていても同様です。

一方、錯誤や詐欺による取消しは、善意・無過失の第三者には対抗できません。この場合、その第三者に登記があることは必要ありません。ただし、善意・無過失の第三者がいても、契約の取消し自体ができなくなるわけではありません。

取消し後に第三者へ譲渡された場合

取消し後に目的物が第三者へ譲渡された場合、取消し前の第三者との関係とは異なり、取消しをした者は、登記がなければその第三者に対抗できません。取消しにより新たな物権変動が生じ、取消しをした者と第三者との二重譲渡と同様に扱われるため、先に登記を備えた者が所有権を取得します。この点は、制限行為能力を理由に契約を取り消した場合も同じです。