併存的債務引受とは、もともとの債務者が債務を負い続けたまま、第三者も同じ内容の債務を引き受ける制度です。引受人は、もとの債務者と連帯して責任を負います。
併存的債務引受とは
たとえば、D社がE社に対して負う工事代金の支払債務について、F社がD社とともに支払義務を負うケースです。この場合、E社はD社だけでなく、F社にも支払いを請求できます。
免責的債務引受では、もとの債務者が債務から外れ、引受人だけが債務を負います。一方、併存的債務引受では、もとの債務者の債務は消滅しません。この点が両制度の重要な違いです。
併存的債務引受の要件
併存的債務引受は、次のいずれかの契約方法で成立します。
三者で合意する場合
債権者、もとの債務者、引受人の三者が合意すれば成立します。たとえば、E社・D社・F社が、F社もD社と同じ支払債務を負うことを合意する方法です。
債権者と引受人が契約する場合
債権者と引受人の二者間の契約によっても可能です(民法470条2項)。
債務者と引受人が契約する場合
もとの債務者と引受人の二者間で合意することも可能です。ただし、この方法では、債権者が引受人に対して承諾した時点で効力が生じます(民法470条3項)。
成立後の効果と連帯債務との関係
引受人は連帯して責任を負う
引受人は、もとの債務者と同じ内容の債務を負い、両者は連帯して責任を負います(民法470条1項)。
担保権は存続する
もとの債務者が債務を免れるわけではないため、その債務を担保していた担保権も、そのまま存続します。
引受人が主張できる抗弁
引受人は、併存的債務引受の効力が生じた時点で、もとの債務者が主張できた抗弁を債権者に対抗できます(民法471条1項)。また、もとの債務者が取消権または解除権を持つ場合、引受人は、その権利行使によって債務者が免れる限度で履行を拒めます(同条2項)。
まとめ
- 併存的債務引受では、もとの債務者の債務は消滅しない
- 三者契約、債権者と引受人の契約、債務者と引受人の契約で成立し得る
- 債務者と引受人の契約では、債権者の承諾が必要
- 引受人は、もとの債務者と連帯して責任を負う
- 担保権は存続し、抗弁や取消権・解除権に関する主張もできる
