特別受益とは、共同相続人の一部が被相続人から受けた遺贈や一定の贈与を、相続分の計算に反映する制度です。
特別受益とは
特別受益にあたる贈与・遺贈
共同相続人の中に、被相続人から次のいずれかを受けた人がいる場合、その遺贈や贈与が特別受益となります。
- 遺贈
- 婚姻のための贈与
- 養子縁組のための贈与
- 生計の資本としての贈与
特別受益が相続分に反映される仕組み
相続開始時に被相続人が有していた財産に、特別受益にあたる贈与の価額を加え、その合計を「みなし相続財産」として相続分を計算します。その後、特別受益を受けた相続人については、法定相続分または遺言による指定相続分から、遺贈または贈与の価額を差し引きます。
生前贈与が相続分に与える影響を計算例で解説
計算の手順
- 相続開始時に残っている財産を確認する
- 特別受益にあたる贈与の価額を加え、みなし相続財産を算出する
- 法定相続分または指定相続分に従って分ける
- 特別受益を受けた相続人の相続分から贈与・遺贈の価額を差し引く
計算例
被相続人Aの子B・Cが相続人となり、相続開始時に1,000万円の財産があったとします。BがAから生前に200万円の贈与を受けていた場合、この200万円を加えた1,200万円が「みなし相続財産」となります。
| 計算内容 | 金額 |
|---|---|
| みなし相続財産 | 1,000万円+200万円=1,200万円 |
| Bの計算上の相続分 | 1,200万円×2分の1=600万円 |
| Bの実際の相続分 | 600万円-200万円=400万円 |
| Cの実際の相続分 | 600万円 |
この場合、Bの実際に受ける相続分は400万円、Cの相続分は600万円となります。
特別受益の計算に関する例外と注意点
婚姻期間20年以上の夫婦間の居住用不動産の贈与
婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他方に対し、その居住の用に供する建物またはその敷地について遺贈または贈与をしたときは、被相続人は、その遺贈または贈与について特別受益に関する規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定されます。
相続開始から10年を経過した場合の制限
特別受益者の相続分に関する規定は、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割については、原則として適用されません。
ただし、相続開始の時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割を請求した場合は適用されます。また、10年の期間の満了前6か月以内に、遺産の分割を請求できないやむを得ない事由があり、その事由が消滅した時から6か月を経過する前に家庭裁判所へ遺産分割を請求した場合も、適用されます。
まとめ
特別受益とは、共同相続人の一部が被相続人から受けた遺贈や、婚姻・養子縁組・生計の資本のための贈与です。その価額を相続開始時の財産に加えてみなし相続財産を計算し、特別受益を受けた相続人の相続分から遺贈または贈与の価額を差し引きます。ただし、婚姻期間20年以上の夫婦間における居住用不動産の遺贈・贈与や、相続開始から10年経過後の遺産分割には、例外や期間制限があります。
