代理権の消滅事由とは?任意代理と法定代理の違いを解説

代理権とは、代理人が本人に代わって法律行為をする権限です。代理権の消滅事由には、任意代理と法定代理に共通するもののほか、それぞれに特有のものがあります。

代理権の消滅事由には「共通するもの」と「代理の種類ごとのもの」がある

代理権の消滅事由とは

代理権の消滅事由とは、代理人が本人を代理する権限を失う原因のことです。

任意代理と法定代理の違い

任意代理は、本人の意思に基づいて代理権が発生するものです。委任契約だけでなく、雇用や請負など、本人と代理人との法律関係を原因として代理権が与えられる場合もあります。

これに対して法定代理は、親権者や後見人のように、法律の規定によって代理権が発生するものです。発生原因が異なるため、代理権が消滅する場面にも違いがあります。

任意代理と法定代理に共通する代理権の消滅事由

民法111条1項では、次の事由を任意代理と法定代理に共通する消滅事由としています。

  • 本人が死亡したこと
  • 代理人が死亡したこと
  • 代理人が破産手続開始の決定を受けたこと
  • 代理人が後見開始の審判を受けたこと

本人が死亡した場合や、代理人が死亡した場合には、代理権が消滅します。また、代理人が破産手続開始の決定や後見開始の審判を受けた場合も、代理権は消滅します。

なお、本人が後見開始の審判を受けたこと自体は、代理権の消滅事由ではありません。

任意代理に特有の代理権の消滅事由

代理権の発生原因となった法律関係の終了

任意代理では、代理権を発生させる原因となった法律関係が終了すると、代理権も消滅します。ここでいう「委任」は、民法上の委任契約だけでなく、代理権の発生原因となった法律関係全般を意味します。

委任の解除

委任を解除した場合も、委任関係が終了し、代理権の消滅につながります。

また、本人が破産手続開始の決定を受けたことも、任意代理では代理権の発生原因となった委任関係の終了を通じて、代理権が消滅する事由となります。

法定代理に特有の代理権の消滅事由

本人が行為能力者となったこと

法定代理では、本人が行為能力者となったことが、法定代理に特有の代理権の消滅事由です。

代理権の消滅事由まとめ|任意代理と法定代理の違い

区分 主な消滅事由
共通 本人の死亡、代理人の死亡、代理人の破産、代理人の後見開始
任意代理に特有 代理権の発生原因となった法律関係の終了、委任の解除、本人の破産
法定代理に特有 本人が行為能力者となったこと

まとめ

代理権の消滅事由には、本人や代理人の死亡など、任意代理と法定代理に共通するものがあります。任意代理では、委任の解除など、代理権の発生原因となった法律関係が終了した場合にも代理権が消滅します。一方、法定代理では、本人が行為能力者となったことが特有の消滅事由です。なお、本人が後見開始の審判を受けたこと自体は、代理権の消滅事由ではありません。