遺言とは?法律上の意味と遺言の方式をわかりやすく解説

遺言とは、生前に、自分が亡くなった後の法律関係を定めておくことです。財産を誰に承継させるかなどを指定できますが、単に希望を書けばよいわけではありません。民法が定める方式に従って作成する必要があります。

遺言とは?法律上の意味をわかりやすく解説

遺言の意味

遺言の効力は、原則として遺言者が死亡した時から生じます。ただし、遺言に停止条件(一定の事実が起きたときに効力が生じる条件)が付され、その条件が死亡後に成就した場合は、条件が成就した時から効力が生じます。

遺言には法律で定められた方式が必要

遺言は、法律上の方式を満たさなければなりません。内容が明確でも、方式に不備があると遺言として認められないことがあります。方式は、通常の状況で作成する普通方式と、死亡の危急など特別な状況で認められる特別方式に分かれます。

遺言の方式は「普通方式」と「特別方式」に分かれる

普通方式

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

特別方式

  • 死亡危急者の遺言
  • 伝染病隔離者の遺言
  • 在船者の遺言
  • 船舶遭難者の遺言

普通方式の遺言3種類と作成要件

自筆証書遺言

遺言者本人が作成する方式です。遺言の全文、日付、氏名を自書し、押印します。「年月のみ」や「1月吉日」など、日付を特定できない記載では足りません。

財産目録を添付する場合、目録自体は自書しなくても構いません。ただし、目録の各ページ(両面に記載がある場合は両面)に署名・押印が必要です。内容を訂正・変更するときは、変更場所を示し、変更した旨を付記して署名し、変更場所に押印しなければ効力が生じません。また、2人以上が同じ証書で行う共同遺言は禁止されています。

公正証書遺言

公証人が関与して作成する遺言です。証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言内容を公証人に口授し、公正証書を作成します。口がきけない者は、通訳人の通訳または自書によって口授に代えることができます。原本は公証役場が保管・管理します。

未成年者、遺言者の推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族、公証人の配偶者・4親等内の親族・書記・使用人は、証人や立会人になれません。

秘密証書遺言

遺言書の存在は明らかにしつつ、内容を秘密にする方式です。遺言者が署名・押印した遺言書を封じ、使用した印章で封印します。そのうえで、公証人と証人2人以上の前に提出し、自分の遺言書であることと筆者の氏名・住所を申述します。公証人が提出日などを封紙に記載し、遺言者・公証人・証人が署名・押印します。

内容は自書でなくてもよく、他人の筆記やワープロによる作成も可能です。秘密証書遺言の方式を満たさなくても、自筆証書遺言の要件を満たしていれば、自筆証書遺言として有効とされます。

未成年者・成年被後見人の遺言

未成年者であっても、15歳に達した者は、単独で遺言をすることができます。

成年被後見人は、事理弁識能力を一時回復した状況にあるとき、医師2人以上の立会いのもとで遺言をすることができます。この場合、立ち会った医師は、遺言をする時に事理弁識能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記し、署名・押印しなければなりません。なお、未成年者や成年被後見人などの法律行為に関する規定は、遺言には適用されません。

特別方式の遺言とは?4種類の要件

死亡危急者の遺言

疾病などで死亡の危急に迫った者が、証人3人以上の立会いのもと、証人の1人に遺言の趣旨を口授して行います。

伝染病隔離者の遺言

伝染病により行政処分で交通を断たれた場所にいる者が、警察官1人と証人1人以上の立会いのもと、遺言書を作成します。

在船者の遺言

船舶内にいる者が、船長または事務員1人と証人2人以上の立会いのもと、遺言書を作成します。

船舶遭難者の遺言

船舶が遭難し、その船内で死亡の危急に迫った者が、証人2人以上の立会いのもと、口頭で遺言をします。

特別方式の遺言の効力に関する注意点

特別方式は、普通方式で遺言をすることができない特別な状況で認められる方式です。そのため、遺言者が普通方式で遺言をすることができるようになった時から6か月間生存した場合、特別方式の遺言は無効になります。