審査請求の手続中に、裁決を担当する行政庁が変わったり、審査請求人が死亡したりすることがあります。このような場合に、進行中の審査請求を誰が引き継ぐのかを定める仕組みが「審査請求の承継」です。
審査請求の承継とは
審査請求の承継とは、手続の途中で行政庁や審査請求人の地位に変化が生じた場合に、別の行政庁や相続人などが手続を引き継ぐことです。
主に、行政庁側の承継と審査請求人側の地位の承継があります。両者は要件や効果が異なるため、分けて確認する必要があります。
行政庁の承継|裁決権限を失った場合
新たに裁決権限を持つ行政庁への引継ぎ
審査請求がされた後、法令の改廃によって、従来の行政庁がその審査請求について裁決する権限を失うことがあります。
この場合、従来の行政庁は、次のものを新たに裁決権限を持つ行政庁へ引き継がなければなりません。
- 審査請求書または審査請求録取書
- 関係書類
- その他の物件
引継ぎ後の通知
引継ぎを受けた行政庁は、速やかに、その旨を審査請求人と参加人へ通知します。
審査請求人の地位の承継|相続・法人の組織再編・権利譲渡
審査請求人が死亡した場合
審査請求人が死亡したときは、相続人その他、法令によって審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者が、審査請求人の地位を引き継ぎます。
そのため、審査請求の目的である処分に係る権利を承継していることが必要です。
法人などに合併・分割があった場合
審査請求人である法人などに合併があった場合は、合併後に存続する法人など、または合併によって設立された法人などが地位を承継します。ただし、審査請求の目的である処分に係る権利を承継させる合併であることが必要です。
分割の場合は、その権利を承継した法人が審査請求人の地位を引き継ぎます。
処分に係る権利を譲り受けた場合
処分に係る権利を譲り受けた者も、審査庁の許可を得れば、審査請求人の地位を承継できます。相続や合併・分割とは異なり、権利を譲り受けただけで当然に地位を取得するわけではありません。
審査請求の承継で確認すべきポイント
- 行政庁の承継は、法令改廃によって裁決権限を持つ行政庁が変わった場合に行われる
- 審査請求人の承継は、処分に係る権利を承継したことが基本となる
- 権利の譲受人が承継するには、審査庁の許可が必要である
- 承継の際は、誰が処分に係る権利を引き継いだのかを確認する
まとめ
審査請求の承継には、行政庁の承継と、審査請求人の地位の承継があります。行政庁の裁決権限が変わった場合は書類などが新たな行政庁へ引き継がれ、審査請求人が死亡した場合や法人に合併・分割があった場合は、処分に係る権利を承継した者が地位を引き継ぎます。権利の譲受人については、審査庁の許可が必要です。
